古物営業法の本人確認とは?必要書類・1万円未満の例外・非対面取引の方法を解説

リユースショップや中古品買取事業者が行う買取取引では、古物営業法に基づき取引相手の本人確認が必要になる場合があります。店頭買取・出張買取に加え、宅配買取やネット買取では、免許証のコピーを送ってもらうだけでは本人確認が完了しないため、取引方法に合った手続きが重要です。
この記事では、古物商が確認すべき事項、1万円未満の例外、利用できる本人確認書類、対面・非対面の確認方法、記録の保存期間を整理します。さらに、リユース業界で生じやすい本人確認の課題、犯収法との違い、eKYCを活用した買取業務の効率化も解説します。
リユース事業者が行う本人確認は、取引金額・取扱品目・買取方法によって必要な手続きが異なります。重要なポイントを先に整理します。
古物を買い受ける場合などに、原則として相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認します。
原則として免除されますが、書籍・ゲームソフト・一定の金属関連品など例外があります。
本人確認書類のコピーを受け取るだけでは不十分です。法令に定められた非対面確認が必要です。
古物商のすべての取引が犯収法の対象ではありません。事業内容・取引内容によって判断します。
古物営業法の帳簿等は原則3年間保存します。犯収法が適用される取引には別の保存義務があります。
店頭・出張・宅配・ネット買取では確認手順が異なります。リユース事業者は、本人確認書類を受け取るだけでなく、各買取チャネルに適した手続きを設計することが重要です。
古物営業法とは?古物商の本人確認が必要な理由

リユース業界で中古品を買い取る際に重要となる古物営業法は、盗品等の売買防止と被害の迅速な回復を目的とした法律です。古物商には、相手方の確認、不正品の申告、帳簿等への記録などの義務があります。本人確認は単なる書類収集ではなく、取引相手のなりすましを防ぐための手続きです。
古物商が確認する4つの事項
本人確認が必要な取引では、原則として取引相手の住所・氏名・職業・年齢を確認します。法人との取引では、実際に取引を担当する自然人についての確認が必要です。
古物商の本人確認はいつ必要?1万円未満なら不要?
古物を買い受ける場合、交換する場合、売却・交換の委託を受ける場合などには、法令上の相手方確認が問題となります。一般に、買受ける古物の総額が1万円未満の場合は確認義務が免除されますが、すべての品目が対象ではありません。
| 取引・品目 | 本人確認の扱い |
|---|---|
| 一般的な古物の買受け(総額1万円以上) | 原則必要 |
| 一般的な古物の買受け(総額1万円未満) | 原則免除 |
| バイク・一定の部品、ゲームソフト、書籍、CD・DVD等 | 1万円未満でも必要 |
| エアコン室外機、電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製グレーチング | 2025年10月1日から1万円未満でも必要 |
2025年10月1日の施行規則改正で、盗難被害が問題となる金属関連の品目が追加されました。取扱商品に例外品目が含まれないか確認してください。出典:警視庁「古物営業法施行規則の一部改正について」
買取金額が1万円未満でも注意したいこと
本人確認義務が免除される取引でも、未成年者からの買取制限や盗品の疑いがある場合の申告義務など、別のルールがなくなるわけではありません。また、免除要件の判断は、品目と取引内容を踏まえて行う必要があります。
古物商の本人確認に使える書類と確認事項
対面取引では、運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書等を用いて、住所・氏名・職業・年齢を確認する方法があります。書類に職業の記載がない場合は、別途申告を受けるなど、必要事項を漏れなく確認してください。
本人確認書類の種類だけで適法性が決まるわけではありません。対面か非対面か、書類の提示・撮影・IC読取など、確認手段と組み合わせて判断することが重要です。マイナンバーカードを扱う際は、本人確認に不要な個人番号(裏面)を取得しないよう注意してください。
古物商が対面で本人確認する方法
店頭や出張買取など、取引相手と対面する場合には、身分証明書等の提示を受ける方法、相手方の身元を確かめられる第三者に問い合わせる方法、必要事項を記載した文書に面前で署名してもらう方法などが定められています。
複数店舗を運営するリユース事業者では、店舗や担当者によって確認手順が異なることも課題です。店頭での書類確認に加え、タブレットによる受付やICチップ読取を組み合わせれば、転記ミスや書類管理の負担を抑えられる可能性があります。ただし、システムの利用だけで法令要件が自動的に満たされるわけではありません。採用する確認方法が該当条項に適合するか確認が必要です。
宅配買取・ネット買取の本人確認方法|コピーだけでは不十分
リユース事業者が宅配買取やネット買取を行う場合、取引相手が実際に申告した住所・氏名の本人かを確かめる必要があります。警視庁は、免許証等のコピーや住民票の写しを送ってもらうだけでは違反と明記しています。
郵送を組み合わせる本人確認
法令で定められた方法の一つに、本人確認書類の画像等を受け取り、記載住所へ転送不要扱いの簡易書留等を送付し、その到達を確かめる方法があります。単に郵便を発送するだけでは足りず、採用する方式に応じた到達確認などが必要です。
オンライン本人確認(eKYC)
古物営業法施行規則には、専用ソフトウェアで撮影した顔画像と写真付き身分証明書の画像を受信する方法や、顔画像と本人確認書類のICチップ情報を組み合わせる方法などが規定されています。画像の撮影方法、IC情報の真正性確認、記録の保存など、方式ごとに条件が異なります。
したがって、「eKYCを導入したから古物営業法に対応できる」と一律には判断できません。実装する認証フローと法令上の確認方法を照合することが重要です。出典:警視庁「非対面取引における確認の方法」
古物営業法と犯収法の本人確認は何が違う?
古物営業法と犯罪収益移転防止法(犯収法)は、目的も対象取引も異なります。古物商であるというだけで、すべての取引に犯収法上の取引時確認が必要になるわけではありません。
| 比較項目 | 古物営業法 | 犯収法 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 盗品等の流通防止・被害回復 | マネー・ローンダリング等の防止 |
| 主な対象 | 古物商の対象となる買受け等 | 特定事業者が行う特定取引等 |
| 古物商との関係 | 古物営業を行う事業者に適用 | 貴金属等を扱う特定古物商などに適用 |
| 記録保存 | 帳簿等は原則3年間 | 確認記録・取引記録等は原則7年間(起算点は異なる) |
貴金属・宝石等を扱う事業者は、現金による高額取引など、犯収法上の特定取引に該当するかも確認する必要があります。詳細は犯収法の本人確認・2027年法改正の解説記事をご覧ください。
本人確認の記録・個人情報は何年間保存する?
古物営業法で帳簿等への記載・記録が必要な取引については、原則として3年間保存します。犯収法が適用される取引では、確認記録や取引記録等について原則7年間の保存義務があります。
ただし、本人確認のために取得した書類画像や個人情報を、すべて同じ期間保存すべきという意味ではありません。法令上の保存義務、採用した確認方式、個人情報保護の観点を踏まえて、取得範囲・保存期間・アクセス権限・削除ルールを定めましょう。
リユース業界の本人確認でよくある課題
リユース業界では、店舗での持ち込み買取だけでなく、出張買取・宅配買取・ネット買取など複数の受付チャネルを運営する事業者もいます。買取方法が増えるほど、確認義務の判定、本人確認の案内、確認記録の管理を一貫して運用することが課題になります。

店頭・出張買取での確認手順のばらつき
店舗や訪問先で本人確認を行う場合、担当者が取扱品目や買取金額に応じて確認の要否を判断し、必要事項を漏れなく確認する必要があります。店舗数や担当者が増えると、書類確認・入力・記録方法が統一されていないことによる確認漏れや転記ミスが生じやすくなります。
宅配・ネット買取での書類提出と顧客対応
非対面の買取では、顧客に確認方法を案内し、法令に沿った手続きを完了してもらう必要があります。書類の再提出や確認の差し戻しが発生すると、顧客の手間だけでなく、買取受付から査定・入金までの業務にも影響します。本人確認を受付フローのどの段階に組み込むかが重要です。
本人確認情報と買取記録の管理
買取チャネルごとに書類画像や確認結果の管理方法が異なると、取引記録との照合や問い合わせ対応に時間がかかります。法令上必要な記録と、それ以外の個人情報を区別し、適切な保存・閲覧・削除ルールを整えることが求められます。
リユース事業者が整理したい3つの視点
- 取引金額・品目による本人確認義務の判定
- 店頭・出張・宅配・ネット買取ごとの確認フロー
- 確認結果と買取記録の一元的な管理
古物商の本人確認をeKYCで効率化するメリット
リユース事業者の本人確認では、宅配買取での書類提出依頼、店頭・出張買取での受付、顧客情報の入力、確認結果と買取記録の管理などが負担になりがちです。法令上の確認要件を満たす方法を選んだうえでeKYCを活用すれば、顧客の操作負担と担当者の確認業務を見直すことができます。

- 顧客負担の軽減:スマートフォンで本人確認を進められるため、コピー取得や郵送の手間を減らせる場合があります。
- 受付業務の効率化・入力ミスの削減:本人確認フローの案内や確認情報のデータ化により、転記作業の負担を減らせる場合があります。
- 買取チャネルをまたぐ運用の標準化:店頭・出張・宅配・ネット買取に応じた本人確認方式と記録管理の運用を整理できます。
- 将来の運用変更に備える:IC認証などを含め、法令や運用に合わせて方式を見直しやすい構成が重要です。
なお、eKYCは古物営業法上の本人確認を自動的に代替するものではありません。利用する方式が実際の買取取引に適用できるか、必要な追加手続きや記録方法を確認する必要があります。
リユース企業の導入事例
ProTech ID Checkerの導入事例として、映像機器・ドローン等の中古買取における本人確認のオンライン化を紹介しています。株式会社システムファイブの導入事例を見る
また、宅配買取における本人確認の効率化については、株式会社Real Standardの導入事例も参考になります。
古物商の本人確認に関するよくある質問
1万円未満の買取なら本人確認は不要ですか?
原則免除されますが、書籍・ゲームソフト・一定の金属関連品など、金額にかかわらず本人確認が必要な品目があります。
宅配買取で免許証のコピーを受け取れば十分ですか?
いいえ。コピーを受け取るだけでは足りません。法令で定められた非対面の確認方法を採用してください。
リユースショップの本人確認は店頭と宅配買取で同じですか?
同じではありません。店頭などの対面取引と宅配・ネット買取などの非対面取引では、法令で認められた確認方法が異なります。取引方法に応じた手続きを選んでください。
古物商はすべて犯収法の対象ですか?
いいえ。貴金属等を扱う特定古物商など、事業内容や取引内容に応じて対象となります。
古物商の本人確認記録は何年間保存しますか?
古物営業法に基づく帳簿等は原則3年間です。犯収法上の記録には原則7年間という別のルールがあります。
まとめ|古物商の本人確認は取引方法と取扱品目に合わせて設計する
リユース事業者・古物商の本人確認では、まず取引内容と取扱品目から確認義務の有無を判断し、店頭・出張・宅配・ネット買取のそれぞれに適した方法を選ぶことが重要です。特に非対面取引は、書類コピーの受領だけでは不十分なため、法令に沿ったフローの設計が欠かせません。
ProTech ID Checkerは、撮影認証やIC認証など複数の本人確認手段に対応しています。古物営業法上の確認方法との適合性を個別に確認しながら、買取業務に合った本人確認の運用をご検討ください。
本人確認業務の見直しについては、ProTech ID Checkerのサービス紹介をご覧ください。
