本人確認BPOとは?eKYC・AI自動審査で審査業務を効率化する方法

本人確認が必要なサービスでは、本人確認書類の確認や申込情報との突合、審査結果の判定など、さまざまな業務が発生します。
こうした本人確認業務を自社ですべて行うのではなく、外部の専門事業者へ委託する方法が「本人確認BPO」です。
BPOを活用すれば社内の作業負担を軽減できますが、本人確認件数が増えるほど委託する審査件数も増え、コストが拡大しやすいという課題があります。
そこで注目したいのが、eKYCやAIによる自動審査との組み合わせです。
本人確認をオンライン化するだけでなく、申込情報と本人確認データの突合や判定まで自動化し、AIで判断できない申請だけを人による審査へ回すことで、本人確認BPOへの依存や審査コストを抑えられる可能性があります。
この記事でわかること
- 本人確認BPOとは何か
- 本人確認をBPOするメリットと課題
- eKYCと本人確認BPOの違い
- AI自動審査で自動化できる本人確認業務
- AI自動審査とBPOを組み合わせる方法
本人確認BPOとは
本人確認BPOとは、本人確認に関連する業務を外部の専門事業者へ委託することです。
BPOは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、単純な作業だけでなく、一定の業務プロセスをまとめて外部へ委託する仕組みを指します。
本人確認では、利用者から送信された本人確認書類や申込情報を確認し、内容に問題がないかを審査する必要があります。
本人確認BPOを利用することで、こうしたバックオフィス業務を外部へ委託し、自社の担当者が本来の業務へ集中しやすくなります。
本人確認BPOで委託される主な業務
委託範囲はサービスによって異なりますが、本人確認BPOでは主に次のような業務が行われます。
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 本人確認書類の確認 | 提出された本人確認書類の種類や記載内容などを確認 |
| 申込情報との突合 | 氏名・住所・生年月日などを申込情報と照合 |
| 容貌の確認 | 本人の容貌と本人確認書類の顔写真などを確認 |
| 不備確認 | 必要情報の不足や確認できない項目がないかを確認 |
| 審査・判定 | 定められた審査基準に基づいて承認・否認・再確認などを判定 |
| マスキング | 本人確認に不要な個人情報などを必要に応じてマスキング |
本人確認には個人情報を取り扱う工程が多いため、単純に人員を増やせばよいわけではありません。
審査担当者の教育や作業環境、権限管理、セキュリティ対策なども必要になるため、一定の運用体制を構築したBPO事業者へ委託する方法が利用されています。
本人確認業務をBPOするメリット
本人確認BPOを利用する大きなメリットは、自社で本人確認の審査体制をすべて構築する必要がなくなることです。
本人確認にかかる社内工数を削減できる
本人確認件数が増加すると、本人確認書類のチェックや申込情報との突合に必要な作業時間も増加します。
BPOを活用すれば、こうした定型的な審査業務を外部へ委託できるため、自社の担当者が問い合わせ対応やサービス改善など、ほかの業務へ時間を使いやすくなります。
本人確認件数の増減に対応しやすい
キャンペーンやサービスの成長などによって申込件数が急増すると、自社の審査担当者だけでは処理しきれないことがあります。
一方、ピーク時に合わせて人員を確保すると、本人確認件数が少ない期間にも人件費が発生します。
BPOを利用することで、本人確認件数の変動に合わせて外部リソースを活用しやすくなります。
採用・教育・運用体制の負担を軽減できる
本人確認を人が審査する場合、審査基準を理解した担当者を確保し、業務品質を維持する必要があります。
BPOを利用すれば、こうした本人確認業務のためだけに採用・教育・運用体制を構築する負担を軽減できます。
本人確認BPOにも課題がある
本人確認BPOは社内工数を削減できる一方、すべての審査を人へ委託する運用が最適とは限りません。
特に本人確認件数が多いサービスでは、BPOへ依頼する件数そのものを減らせるかが重要になります。
本人確認BPOで考えたい課題
- 本人確認件数に応じて審査コストが増加する
- 申込が集中すると審査完了まで時間がかかる場合がある
- 単純な一致確認にも人による作業が発生する
- 外部へ個人情報を連携するため適切な管理体制が必要
- 審査基準や業務フローの設計・共有が必要
そこで、本人確認業務全体をBPOするのではなく、システムで自動化できる審査と、人による判断が必要な審査を分けるという考え方が重要になります。
eKYCと本人確認BPOの違い
本人確認業務の効率化を検討する際に、混同されやすいのが「eKYC」と「本人確認BPO」です。
eKYCは「electronic Know Your Customer」の略で、オンライン上で本人確認を行う仕組みを指します。
一方、本人確認BPOは、本人確認に関連する審査やチェック業務を外部へ委託する仕組みです。
| 比較 | eKYC | 本人確認BPO |
|---|---|---|
| 目的 | 本人確認手続きをオンライン化する | 本人確認業務を外部へ委託する |
| 主な処理 | 本人確認データの取得・照合など | 本人確認書類の確認・突合・審査など |
| 処理主体 | システムを中心に処理 | 外部の審査担当者を中心に処理 |
| メリット | オンラインで本人確認を完結しやすい | 自社の審査工数を削減できる |
重要なのは、eKYCを導入しただけで本人確認に関するバックオフィス業務がすべてなくなるとは限らない点です。
取得した本人確認データと申込情報の突合、不備確認、最終的な審査などが残れば、eKYC導入後も人による作業が発生します。
eKYCのAI審査で本人確認業務を自動化
本人確認業務をさらに効率化する方法が、eKYCとAI審査・自動審査の組み合わせです。
本人確認書類やICチップなどから取得した本人確認データと、利用者が入力した申込情報をシステム上で突合し、一定の審査基準に基づいて自動判定します。
例えば、次のような処理を自動化できます。
AI自動審査で効率化できる業務例
- 氏名の一致確認
- 住所の一致確認
- 生年月日の一致確認
- 本人確認書類と申込情報の突合
- 本人の容貌と本人確認書類の顔画像の照合
- 一定の審査基準に基づく自動判定
これまで審査担当者が1件ずつ目視していた確認を自動化できれば、人が確認する件数そのものを減らすことができます。
表記揺れが自動審査の課題になることも
氏名や住所の自動突合では、単純な文字列の完全一致だけでは正しく判定できないケースがあります。
例えば、住所における「1丁目2番3号」と「1-2-3」の違いや、全角・半角、スペースの有無など、同じ情報でも入力方法によって表記が異なることがあります。
こうした表記揺れをすべて不一致として扱うと、本来は同一人物であるにもかかわらず、人による再審査へ回る件数が増えてしまいます。
AI審査を導入する際には、単に自動判定できるかだけでなく、本人確認で発生する表記揺れなどをどのように処理できるかも重要です。
AI自動審査とBPOを組み合わせると効率化しやすい
本人確認業務では、「AI自動審査かBPOか」のどちらか一方を選ぶ必要はありません。
自動判定できる申請はAIで処理し、AIだけでは判断できない申請をBPOへ回すことで、人が確認する件数を絞り込むことができます。

本人確認業務の効率化イメージ
| ステップ | 処理内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 1 | 本人確認情報を取得 | eKYC |
| 2 | 本人確認情報と申込情報を突合 | AI自動審査 |
| 3 | 条件を満たした申請を判定 | AI自動審査 |
| 4 | 不一致・判断困難な申請を抽出 | AI自動審査 |
| 5 | 抽出された申請のみを確認 | BPO・審査担当者 |
例えば1万件の申請すべてをBPOへ委託するのではなく、自動審査で判定できなかった申請だけを人へ回せれば、BPOへ依頼する件数を抑えられます。
つまり、BPOをなくすことを目的とするのではなく、「人が確認すべき本人確認だけをBPOする」運用に変えることがポイントです。
本人確認BPO・AI自動審査はどう選ぶ?
どこまで自動化するべきかは、本人確認件数や審査内容、自社の運用体制によって異なります。
| 状況 | 検討したい方法 |
|---|---|
| 本人確認件数が少ない | コストや社内体制に応じて、自社審査またはBPOを選択 |
| 繁忙期の件数変動が大きい | BPOを活用して処理能力を確保 |
| 定型的な突合作業が多い | AI自動審査を活用 |
| 本人確認件数が多い | AI自動審査を中心にしてBPO件数を削減 |
| 例外的な申請が多い | AI自動審査+BPOの併用 |
本人確認業務を見直す際には、「BPOを導入するか」だけではなく、現在人が行っている作業を分解し、どこまでシステムで自動化できるかを整理することが重要です。
ProTech ID CheckerならAI自動審査とBPOを組み合わせて運用可能
「ProTech ID Checker」は、オンライン本人確認(eKYC)に加えて、AIによる自動審査やBPOを組み合わせた本人確認フローを構築できます。
AI自動審査では、本人確認で取得した容貌や本人確認書類の記載内容などのデータと申込情報を自動で突合・認証し、審査業務を効率化します。
さらに、AI自動審査で不備判定となったデータのみを審査代行(BPO)へ回す運用も可能です。
AI自動審査+BPOの活用イメージ
- 本人確認はeKYCでオンライン化
- 申込情報との突合をAIで自動化
- 自動判定できる申請はそのまま処理
- 不備・確認が必要な申請だけBPOへ
- BPOへ依頼する審査件数と社内工数を削減
本人確認業務を効率化する際は、単に現在の目視審査を外部へ移すだけでなく、eKYC・AI自動審査・BPOを組み合わせ、人が確認する必要のある申請そのものを減らすことが重要です。
まとめ|本人確認BPOはAI自動審査との組み合わせで効率化
本人確認BPOを活用すれば、本人確認書類のチェックや申込情報との突合、審査などを外部へ委託し、社内の業務負担を軽減できます。
一方、本人確認件数が増えるほど人による審査件数も増えるため、BPOだけではコストや処理時間の課題が残ることがあります。
そこで、eKYCで本人確認情報を取得し、AI自動審査によって定型的な突合・判定を自動化したうえで、判断が必要な申請だけをBPOへ回す方法が有効です。
本人確認業務の効率化を検討する際は、「自社で行うか、BPOするか」という二択ではなく、「どこまで自動化し、どこから人が判断するか」という視点で本人確認フローを設計しましょう。
本人確認BPOに関するよくある質問
Q. 本人確認BPOとは何ですか?
A. 本人確認書類のチェックや申込情報との突合、審査など、本人確認に関連する業務を外部の専門事業者へ委託することです。
Q. eKYCと本人確認BPOの違いは何ですか?
A. eKYCは本人確認手続きをオンライン化する仕組みで、本人確認BPOは本人確認に関連する審査やチェック業務を外部へ委託する仕組みです。両方を組み合わせて利用することもできます。
Q. 本人確認の審査はAIで自動化できますか?
A. 氏名・住所・生年月日などの申込情報と本人確認データの突合や、一定の条件に基づく判定などは自動化できます。ただし、すべての申請を自動判定できるとは限らないため、人による確認と組み合わせる運用が有効です。
Q. AI自動審査を導入すればBPOは不要になりますか?
A. 必ずしも不要になるわけではありません。AIで自動判定できる申請を処理し、不一致や判断が難しい申請だけをBPOへ回すことで、人による審査件数を抑える運用ができます。