eKYCとは?本人確認をオンラインで!手間を減らして機会損失を回避
「eKYC」とは、オンライン本人確認のこと
まず先にKYCとは何か説明すると、「Know Your Customer(自社の顧客を知る)」の略称で、意味合いとしては「本人確認」のことを指します。
一般的に「本人確認」とは、サービスの利用者が実在する本人であることを公的な本人確認書類等で確認する「身元確認」と、実際にサービスを利用する際にその利用者が身元確認を行った本人であることを確認する「当人認証」の組み合わせを通じて行われます。
そして次にeKYCとは本人確認「KYC(Know Your Customer)」に電子的という意味の「electronic」という単語を追加した「オンライン上で行う本人確認」のことを指します。
読み方はそのままeKYC(イー・ケイ・ワイ・シー)と読みます。
一般的にはまだ馴染みが少ない言葉ですが、クレジットカードの新規取得や銀行口座開設、携帯電話の新規契約など様々なシーンで使用されており、身近な存在になってきています。
eKYCの利用シーンとメリット
FinTech(フィンテック)(※金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語)の普及で登場した、eKYCについての解説と導入メリットについてご説明いたします。
eKYCは、銀行口座の開設や、クレジットカードを発行する時の身元確認と、実際に取引を行う際の本人確認などに使用されます。
eKYCの利用に必要なのはスマートフォンのみとなります。
従来ですと、銀行口座開設やクレジットカード発行の際には、以下のような手間と時間のかかる本人確認の手続きが必要でした。
1. 申請書に記入 または オンラインで申請する
2. 自署が必要な確認+申請書類が郵送で届く
3. 顔写真付きの身分証明書のコピーを用意する(顔写真付きの身分証明書が無い場合は2点以上の身分証明書のコピー)
4. 身分証明書のコピーを同梱して返送する
5. 審査・受理して発行される
6. 記載されている申請者の住所宛に転送不要郵便で送られてくる書類を受け取る
申請自体はオンライン上でできたとしても、結局は身分証明証の写し(運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど公的証明書のコピー)を郵送する必要があります。
さらに、記載されている申請者の住所宛に転送不要郵便で送られてくる書類を受け取ることで、ようやく本人確認が完了するという流れでした。
そのため、申請してから実際にサービスを利用できるまでに数日から10日ほどの時間がかかる上に、ユーザーの返送が遅れると大幅なタイムラグが発生していました。
事業者から見ても郵送の手間や、ユーザーが返送をためらったために契約に至らないなど、実質的なユーザー獲得に至らないケースも少なくありませんでした。このように従来の手間と時間がかかっていた本人確認の手続きの過程を、大部分でオンライン完結できるようになるというのがeKYCの大きなメリットです。
eKYC導入の背景
eKYC導入の背景には、近年の国際的なテロ資金対策や振り込め詐欺(オレオレ詐欺など)の対策として、本人確認の厳格化が進んだことが挙げられます。
「未来投資戦略2017(平成29年6月閣議決定)」における日本政府のフィンテック分野への後押しにより、「犯罪収益移転防止法」の一部が改正されたことが大きなきっかけとなりました。
「犯罪収益移転防止法」とは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」のことで、俗に「犯収法(はんしゅうほう)」とも呼ばれています。
詐欺やマネーロンダリングを防止するための法律で、2018年11月30日の法改正により、本人確認書類の郵送の手続きを必要とせず、オンラインのみで本人確認が行なえるようになりました。
犯収法は、もともとは金融庁の監督でしたが、国際的な犯罪やテロとの関わりが多くなってきたことから、現在は警察庁が監督を務め、今回の改正も警察庁が金融庁と連携する形で行われたようです。
また、2020年4月には再び改正。本人確認書類は2点に増え、かつ転送不要郵便も必要という風に厳格化が行なわれました。
※ただし住民票の写しや印鑑登録証明書はなどは原本の郵送であれば一点で可
事業者にとっては、このまま郵送のみの本人確認に固執していては、申し込み率の低下や業務負荷の増加が否めません。
犯罪収益移転防止法について、詳細を知りたい方は下記をご参照ください。
犯罪収益移転防止法 同施行令 同施行規則など|JAFIC 警察庁
犯罪収益移転防止法等の概要について|警察庁刑事局組織犯罪対策部 組織犯罪対策企画課
加えて、2020年初頭から深刻化しているコロナ感染症の影響で非対面・非接触の手続きが重視され、オンライン取引は爆発的に増加しました。
このような背景から、オンラインでの本人確認、つまりeKYCの導入は金融機関の枠を超えて、チケット販売、不動産、各種予約業務など本人確認が必要な多くの業務に広がっています。
オンライン上での本人確認の手順
では、実際には、どのような手順でオンライン本人確認を行うのでしょうか?
必要なものは、本人の顔の画像(動画)と、氏名・住所・生年月日が記載された写真付きの本人確認書類(運転免許証やパスポート、マイナンバーカード)の画像や動画です。
ただし、なりすまし防止のため、事前撮影した画像や動画は使用できず、事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影することが条件となっています。
さらに、本人確認書類に関しては、厚みなどをチェックすることで本物であることを確認し、画像や動画のデータは最終的に事業者による目視での確認も必要です。
eKYCはこのような綿密な手順のもと、オンラインでの本人確認を行うようになっています。
日本でのeKYCの現状
日本でのeKYCの導入動向は2018年11月の犯収法改正の後、すでにいくつかのサービスで導入されています。
2019年4月には、「メルペイ」や「LINE Pay」などのキャッシュレス決済サービスにてeKYCが導入され、話題となりました。
2020年11月には楽天モバイルが新規契約にあたり本人確認にeKYCを導入したほか、他の携帯電話会社も新規契約・MNPに関してはオンラインによる本人確認を導入しています。
当社のeKYCツール「Protech ID Checker」も各種レンタル、不動産業務、ファンディングの申し込みなど本人確認業務、存在証明が必要な業務に採用されeKYCの適用範囲は拡大の一途を辿っています。
海外でのeKYCの現状
一方、海外では、日本に先駆けて以前からeKYCの導入が進んでいます。
たとえば、アメリカやイギリスは、原則、合理的な方法で確実な認証ができる場合は事業者が独自で導入できる法制度内で施行しています。
シンガポールも、すでに郵送なしのオンライン本人確認のみで銀行口座を開設することが可能です。
2017年より、シンガポールでは政府機関が保有するIDデータベースに基づいて、金融機関向けのオンラインの顧客プラットフォームを構築する計画が進められてきました。
政府のデーターベースに保管されている個人IDの情報を使用することで、金融機関が顧客の身元をより効率的に検証し、オンラインでの手続きのみで銀行口座を開設できるという仕組みです。
ドイツは2014年から、フランスは2018年10月から非対面認証方式を認め、ヨーロッパではドイツ・フランス・スイスなどを筆頭にオンライン手続きの法整備が進んでいます。
非対面本人確認の観点から考えても、今後、国内に限らず世界的に多くの業界でeKYCは広く浸透していくことが予測できます。
eKYCのさらなる課題・改善
日本国内ではさまざまな金融機関や業種での利用が期待できるeKYC(オンライン本人確認)ですが、まだまだ課題や改善点もあります。
たとえば、現時点では、オンライン本人確認をする際に専用アプリのインストールが必要になることがほとんどです。そのため、まだ完全に手間がなくなったとは言い難い状況です。
eKYCは、時短や効率化によりユーザーの利便性を高めると同時に、面倒な手間による申し込みの離脱者を防ぐことで事業者側にとっても大きなメリットがあります。
ところが、専用アプリをインストールしなければならないという新たな手間によって、結局、離脱が発生する可能性は否めません。
アプリをスムーズにインストールするには、インターネットやWi-Fi環境が整っている必要がある上に、Apple App StoreやGoogle Playのパスワードを忘れてダウンロードできないなど、1度しか使わないアプリにも関わらず導入ハードルは意外と高いものです。
このように、ユーザーと事業者の両方の立場から見ても改善すべき点が残っています。
オンライン本人確認(eKYC)サービス「ProTech ID Checker」のご紹介
株式会社ショーケースが提供するオンライン本人確認(eKYC)サービス「ProTech ID Checker」は低コストで導入がカンタンです。
【ProTech ID Checkerの特徴】
- 低コスト:月額1万円から導入可能となります。
- 最短1週間で導入可能:主な作業はタグを設置するだけで簡単に導入開始することができます。
- 自動審査機能:申込情報と本人確認書類の情報を自動で突合し、自動で審査を完了することができます。