【顧客の本人確認】犯罪収益移転防止法に準拠するには?おすすめの本人確認方法とは

はじめに

本記事では、 犯罪収益移転防止法で特定事業者として定められている場合に必要な対応事項をなるべく端的に解説し、 またその中でも顧客等の本人特定事項の確認について、おすすめのオンラインでの本人確認方法についてフォーカスして解説をしていきます。
本記事はJAFIC:Japan Financial Intelligence Center、警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第一課 が発行している「犯罪収益移転防止法の概要」(令和5年6月1日時点)の内容に基づいて解説いたします。詳細はそちらをご確認ください。

犯罪収益移転防止法とは?

犯罪収益移転防止法(犯収法)は、マネー・ロンダリングやテロへの資金供給防止を目的として2007年に制定されました。

犯罪による収益の移転の防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的としています。

直近では、令和4年10月に犯罪収益移転防止法等を改正する法案が第210回通常国会に提出され、同年12月に成立しました。令和4年12月改正犯罪収益移転防止法は、令和6年6月までに全面施行予定となっています。

特定取引業者による特定業務の特定取引には義務が課せられている

犯罪収益移転防止法で定められている対象事業者(特定事業者)に該当する場合、顧客等と一定の取引を行う際には「取引時確認」を行う必要があるなどの一定の法令上の義務が課せられています。

ただし特定事業者が行うすべての業務が義務の対象になるわけではありません。

業務の対象となる業務(=特定業務)というものが定められています。

また、特定事業者が顧客等と取引を行う際に、「取引時確認」が必要となるのは、全ての取引ではなく特定業務のうちの一定の取引(特定取引等)と定められています。

特定取引等とは①特定取引と②マネー・ロンダリングに用いられるおそれが特に高い取引(以下「ハイリスク取引」という。)に分かれており、取引によって確認事項及びその確認方法が異なります。

《特定事業者の義務の範囲》

画像出典:特定事業者の義務の範囲 (「犯罪収益移転防止法の概要」)

《特定事業者の特定義務と特定取引》

画像出典:特定事業者の特定義務と特定取引(「犯罪収益移転防止法の概要」)

《特定事業者と義務》

画像出典:特定事業者と義務①(「犯罪収益移転防止法の概要」)
画像出典:特定事業者と義務②(「犯罪収益移転防止法の概要」)

取引時確認とは

取引時確認とは、特定事業者が特定取引等を行う際に行わなければならない確認のことを指します。

取引時確認の確認事項及び確認方法は、「通常の特定取引※」か「ハイリスク取引」のどちらに該当するかにより異なります。

※特定取引であって、ハイリスク取引に該当しないものを指します。

【通常の特定取引の確認事項】

・本人特定事項

・取引を行う目的

・職業(自然人※1)又は事業の内容(法人・人格のない社団又は財団)

※1 自然人とは:取引の任にあたっている人(代表者等)

※ただし、顧客などが国、地方公共団体、上場企業等である場合は、取引の任にあたっている自然人(代表者等)の本人特定事項のみを確認します。

また、顧客などが人格のない社団・財団である場合、取引の任にあたっている自然人(代表者等)の本人特定事項、取引を行う目的、事業の内容を確認します。

【ハイリスク取引の確認事項】

ハイリスク取引を行う際は、通常の特定取引と同様の確認事項に加え、その取引が200万円を超える財産の移転を伴う場合は「資産及び収入の状況」の確認を行う必要があります。

また、マネー・ロンダリングに利用されるおそれの高い取引であることを踏まえ、「本人特定事項」及び「実質的支配者」については、通常の特定取引を行う場合よりも厳格な方法で確認を行う必要があります。

本人特定事項とは

通常の特定取引においても、ハイリスク取引においても「本人特定事項」の確認が必要になります。

「本人特定事項の確認」とは、顧客等又は代表者等の以下の本人特定事項について、

運転免許証等の公的証明書等により確認することを指します。

画像出典:本人特定事項(「犯罪収益移転防止法の概要」)

本人特定事項の確認を確実に行うことは、仮名取引やなりすましによる取引の防止になります。

本人確認書類とは

本人特定事項の確認を行う際に必要となる公的証明書等(本人確認書類)は確認の対象が自然人である場合、法人である場合等に分けて定められています。

自然人の場合の主な例は以下となります。

なお、有効期限のある公的証明書については、特定事業者が支持又は送付を受ける日において有効なものである必要があります。

また、有効期限のない公的証明書等については、原則として特定事業者が提示又は送付を受ける日の前6か月以内に作成されたものに限られます。

《自然人》

ア 運転免許証、運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード、旅券(パスポート)等
イ 上記のほか、官公庁発行書類等で氏名、住居、生年月日、の記載があり、顔写真が貼付されているもの
ア 各種健康保険証、国民年金手帳、母子健康手帳、特定取引等に使用している印鑑に係る印鑑登録証明書 等
ア ②以外の印鑑登録証明書、戸籍の附票の写し、住民票の写し・住民票記載事項証明書
イ 上記のほか、官公庁発行書類等で氏名、住居、生年月日の記載があり、顔写真のないもの(マイナンバーの通知カードを除く。)

〈留意事項〉
マイナンバー(個人番号)、基礎年金番号、被保険者記号・番号等の収集等をすること又は告知を求めることは他法令により禁止されています。

そのため、マイナンバーカード、国民年金手帳、各種健康保険証(介護保険証を除く。)の提示を受ける場合には、当該番号等を書き写すことのないようにし、写しを取る際には、マイナンバーカードにあっては裏面の写しを取らないようにし、国民年金手帳及び各種健康保険証にあっては当該写しの番号等部分を復元できない程度にマスキングを施した上で当該写しを確認記録に添付するようにしてください。

また、これらの書類の写しの送付を受ける場合には、マイナンバーカードにあっては表面のみの写しの送付を受け、国民年金手帳、各種健康保険証(介護保険証を除く。)にあってはあらかじめ顧客等に対し当該番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けるようにし、当該番号等にマスキングが施されていない写しの送付を受けた場合については、当該番号等を復元できない程度にマスキングを施した上で当該写しを確認記録に添付するようにしてください。

本人特定事項の確認方法 非対面の確認方法を抜粋して紹介

本人特定事項の確認を行う方法については、顧客等が自然人である場合、法人である場合等に分けて定められています。

今回は顧客などが自然人であるときの確認方法のうち、低コストでスピーディかつ安全に確認することができる非対面でオンラインで完結する確認方法を一部抜粋して説明します。

本人特定事項の確認方法(非対面取引)の確認方法を一部抜粋

【非対面での取引】

《オンライン上で完結する取引》

①特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、

顧客等の容貌画像+写真付き本人確認書類画像の送信

② 特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、

顧客等の容貌画像送信+写真付き本人確認書類に組み込まれたICチップ情報の送信

③ 特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、

本人確認書類画像の送信 又は 本人確認書類に組み込まれたICチップ情報の送信 

他の特定事業者による預貯金やクレジットカード契約時の取引時確認+確認記録の保存+当該顧客等又は代表者等から本人しか知り得ない事項の申告を受けることで同一人物だと確認

【電子署名による本人特定事項の確認】

④電子署名法 又は 公的個人認証法に基づく電子証明書 

電子証明書により確認される電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信

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株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • 株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • eKYCツールProTech ID Checker」を提供する株式会社ショーケースのeKYCコラム編集部です。実際にeKYCを日々営業活動&製品提供するスタッフがコラムの執筆から編集まで行っています。

    このコラムではProTech ID CheckerやProTech AI Maskingに関わる、法令・商品の機能・導入事例や統計などをまとめて随時提供していきます。