次期マイナンバーカードとは?最新動向解説|2026年度導入を目指す方針

はじめに

本記事では2026年に導入が検討されている次期マイナンバーカード(次期個人番号カード)の最新動向について解説していきます。(更新日:2024年4月3日)

引用元:デジタル庁「次期個人番号カードタスクフォース

今後も随時更新予定です。

この記事を読むことで次期マイナンバーカードでは現状のマイナンバーカードからどんな変更が検討されているのか情報を得ることが出来ます。

次期マイナンバーカード(次期個人番号カード)とは

現在のマイナンバーカードの交付は2016年から開始されており、2026年で交付開始から10年を迎えます。

そして2016年にマイナンバーカードを発行した人は、マイナンバーカードの有効期限である10年目を迎え更新が必要となります。

そんなマイナンバーカード発行10年目という時期に合わせてマイナンバーカードの機能拡充を目的とした次期マイナンバーカード(次期個人番号カード)の導入検討が進められています。

これはデジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において記載がされています。

次期マイナンバーカードの変更検討事項

2024年3月18日に開催された次期マイナンバーカードについて検討する次期個人番号カードタスクフォース(第4回)にて公表された資料「次期個人番号カードタスクフォース最終とりまとめ(案)概要」の内容に基づき重要な検討事項を抜粋して解説していきます。

以下2つのパートに分けて解説していきます。

  1. カードの機能向上に向けた重点的対策項目
  2. その他重要論点

1.カードの機能向上に向けた重点的対策項目

まず、カードの機能向上に向けた主な検討項目は以下4点です。

(1)カードの券面記載事項
(2)カード等に用いる技術
(3)発行体制
(4)公証名義

(1)カードの券面記載事項

氏名・生年月日・住所・顔写真現行から引き続き記載する。
性別は次期カードにおいては、ICチップに性別の情報を記録した上で、券面に記載しないこととする
 →現行同様にICチップに性別の情報を記録すれば問題は生じないとの調査結果が得られた為。
  併せて、スマホを通じてICチップから基本4情報(氏名・生年月日・住所・性別)やマイナンバー等を読み取れるアプリを国が開発し、無償配布する。
マイナンバーは、各機関にマイナンバーを提供する際にカード自体が活用されると考えられることから、現行通り、券面(裏面)に記載する。

・通称・旧氏は、「個人番号カードが住民票に記載された者に交付される本人確認書類である」こと等を鑑み、現行通り(住民票に記載された場合、カードにも記載。)とする。
・その他、今後現行カードから新たに氏名のフリガナが券面記載事項に追加される予定。また、希望者には生年月日の西暦と氏名のローマ字が追加欄に記載される予定。
次期個人番号カードでは生年月日を和暦から西暦に変更すること、氏名のローマ字を追加欄ではなく券面記載することを検討する。
・券面のデザイン見直しも検討する。特に、文字の読みやすさに配慮するとともに、誰もが持ちたくなる魅力的なデザインを実現する。

【次期個人番号カードのデザイン(イメージ)】

引用元:デジタル庁「次期個⼈番号カードのデザイン(イメージ)

(2)カードに用いる技術

・暗号方式の在り方

電子証明書の有効期限(5年)をカード本体の有効期限と合わせて10年に延長する。
なお、18歳未満の場合は現行どおり、カード本体並びに電子証明書の有効期間は5年とする。
その前提として10年の有効期限に耐えうる強固な暗号方式に移行する。


・暗証番号の入力のユーザー利便性向上

暗証番号のユーザー利便性を向上させるためにアプリケーション(AP)の再編を行う。
現行カード:4つのAPが搭載され、4つそれぞれの暗証番号が必要。
次期カード:APを次の2つに再編する。これに伴い暗証番号も2つとなる。暗証番号の設定・入力の負担軽減、照合番号の合理化等を実現する。
 *(仮称)認証AP:暗証番号の入力を必要とする機能を集約したアプリケーション
 *(仮称)券面等AP:カード券面に印字された照合番号の入力により券面記載事項等を確認・取得できるアプリケーション
将来的にはスマホの生体認証等を活用することで暗証番号を不要にすることを検討する。

引用元:デジタル庁「次期個人番号カードタスクフォース中間とりまとめ骨子(案)

(3)発行体制

・カードの速やかな発行体制を構築する

カードの更新について、計画的な更新が進められるように、以下のように運用を工夫する。

 現行カード:有効期限の3ヶ月前から更新申請可能。有効期限は10回目の誕生日(18歳未満は5回目の誕生日)。

 次期カード:更新申請については、有効期限の1年前から可能とする。

         有効期限については、10回目の誕生日(18歳未満は5回目の誕生日)の1ヶ月後とする。

・特急発行

特急発行の対象には、乳児(満1歳未満)、紛失等による再交付、海外からの転入者のほか、追記欄満欄等の本人の意思によらずカードが使えなくなったケース等も加えることとする。

その他の更なる発行時間の短縮については、費用対効果の観点も踏まえて検討する(特急発行は、2024年12月2日より開始する。)。

・更新の在り方

<現行カードにおける電子証明書の更新>

現行カードにおける電子証明書の更新について、市町村窓口や郵便局での更新体制の整備を推進することとし、その他市町村の窓口負担の軽減方策について更に検討を進める。

<個人番号カード自体の更新(10年目)について>

個人番号カード自体の10年目の更新について、市町村の窓口負担の軽減方策の検討を進める。

なお、個人番号カードは、対面に加え、オンラインでも確実な本人確認ができる最高位の本人確認書類であり、それ自体の更新については電子証明書の更新と異なり、顔写真の情報が必ず変更されるため、その確認を十分に行う必要がある。

これらのことに鑑み、現在と同様、個人番号カード自体の更新時は対面による厳格な本人確認を継続する。

(4)公証名義

・国の保証の下に発行されていることを明確にする為に、カード券面に「日本国 JAPAN」と記載するか検討する。

2.その他重要論点

次に、その他の検討項目は以下14点です。

(1)次期カード発行直前に発行されるカードの電子証明書の扱い

現行カードの電子証明書に用いられる暗号アルゴリズムは2031年1月1日以降利用不可とされているが、期限までの次期カードへの移行完了は困難であると考えられる。

状況によっては利用延長に向けた相談を検討する必要がある。

可能な限り速やかに新暗号への移行を図る為に、次期カード導入時期以降は現行カードの電子証明書の更新ではなく、次期カードの取得を推奨する。

(2)新旧カードの切り替えに伴うカード利用機関等への影響

有識者の知見によると、ハードウェアの交換は不要と見込まれている為、カード側に新旧の暗号を搭載するのではなく利用者の端末側のソフトウェアの対応で新旧両方の暗号を扱えるようにする。

その場合、利用者の端末側の対応負荷軽減の為、新暗号に対応したライブラリ(利用者クライアントソフト)の提供等、利用者を支援する方策を検討する。

(3) ICチップの空き容量

現行の製品状況を参照すると、ICチップのメモリ容量の増加は困難と推察される。

新暗号方式への移行による鍵データ及び署名データのデータサイズ見直しや、APの再編による各APに設定されていた暗証番号やアクセス制御設定等を統合することで、一定のメモリ容量の節約を実現する。

また、搭載アプリの個数など、メモリ容量の節約を検討する。

(4)ISO認証(現在、ISO/IEC15408のCC認証を取得)

個人番号カードの電子空間内でも最も信頼できる本人確認書類という位置づけから、ISO/IEC15408のCC認証の取得は必須である。

仕様変更に伴い、カード自体のCC認証の取得申請を行う前に、個人番号カードプロテクションプロファイルのCC認証を取得し直す必要がある。

(5) ICチップの顔写真カラー化等(現在、白黒で、容量も小さい)切り替えに伴うカード利用機関等への影響

現行の仕様において顔認証の利用に大きな支障が生じていないことから必ずしもICチップの顔写真のカラー化は必要ではない。また、そもそもチップ容量を勘定してもカラー化は困難と考えられる為、引き続き白黒データを格納する。

一方で顔写真の撮影条件こそが認証制度に大きな影響を及ぼすことから、申請時に添付する顔写真の撮影基準の明確化や、申請時の顔写真の品質チェック強化の徹底について検討する。

(6)カードの磁気ストライプ(現在、JIS規格の磁気ストライプを実装)

現在、磁気ストライプを活用し図書館カードや印鑑登録証として活用している自治体があることや将来的に個人番号カードを銀行のキャッシュカードとして使う場合には磁気ストライプを残す必要がある為磁気ストライプの搭載を継続する。

(7) PUK(PIN UNLOCK KEY)の発行(海外で採用例が多い)

暗証番号がロックされた場合の備えとして、希望者は、有効な電子証明書を使ってPUK(PINUNLOCKKEY)を設定できるようにする。暗証番号ロックがかかった場合に、PUKを使用してマイナポータルアプリで暗証番号のロック解除と暗証番号の再設定ができるようにする。

・PUKの設定方法(案)

引用元:デジタル庁「次期個人番号カードタスクフォース中間とりまとめ骨子(案)

(8)(9)カード本体・JPKIアプリの真贋性判定機能の追加

認証のためのアプリケーションに、デバイス認証を行うための内部認証鍵を設ける。そしてデバイス認証を必要とする機関に、内部認証鍵に対応した公開鍵を配付し、機能の追加を実現する。

マイナンバーカードの真正性を確認することができるセキュアメッセージング機能を必須とする対応も行う。

(10) 電子証明書の失効理由の細分化

電子証明書の失効理由「affiliationChanged」に、「死亡」の細分を設けることは国際基準と異なり、かつ個人情報保護の観点からも難しい。

一方で、「affiliationChanged」に含まれる「海外転出」が、2024年5月以降失効理由でなくなることにより、「affiliationChanged」における大半は自然と「死亡」となる。このことを署名等検証者に周知し、事業の効率化に活用いただく。

(11)個人番号カードの呼称の変更

マイナンバーを活用しないカードの活用法においても「マイナンバーカード」という呼称によりマイナンバーを利用されていると誤解される等、マイナンバー利用事務とカードの利活用が混同される場合がある。

こうした混乱を回避するとともに、国民に親しまれるカードとする為、次期カード導入を契機に、「マイナンバーカード」以外の新たな呼称を、広く国民への公募も経て検討することが有意義であると考えられる。

【中間とりまとめ骨子に対する意見公募の実施結果】

以下のような意見が寄せられました。

  • 本人確認書類(ID)であることがわかりやすい呼称が良い。-52件(27%)
  • 私(My)のカードであることを踏まえた呼称が良い。-19件(10%)
  • 既に浸透しているため、「マイナンバーカード」で良い。-18件(9%)
  • 日本(Japan)のカードであることがわかる呼称が良い。-11件(6%)

意見募集期間:2023年11月27日~12月8日

(12)インターフェイス仕様の公開

次期カードを利用する際ののインターフェイス仕様(APDU仕様書)について、安全性の確保を前提に公開する。

公開により、マイナンバーカード利用端末の開発が容易となり、マイナンバーカードの利活用が進む為。

(13)(長期的論点)将来的な物理カードの必要性

スマホへの電子証明書の搭載が開始されてもカード自体の普及・利活用は重要であるとされる一方でカード自体の不要化については中長期的な課題として検討を続ける。

カードのスマホ搭載が進めばスマホの生体認証を活用する等により利便性が高まり、カードの常時携帯も不要になる。

官民のオンライン・デジタル化の進展が期待できる為、普及と共にさらなる改善を検討する。

(14)その他重要論点(JPKI暗号化機能の追加)

JPKI暗号化機能を追加し、現在、政府、自治体、医療分野で親展郵便で送っている情報を、受信者本人のみが復号可能な状態に暗号化して電子的に送ることを実現する仕組みについて引き続き検討する。

(15)次期カードの導入時期

個人番号カードの導入から10年を迎える2026年をひとつの視野に入れ、様々な関連システムの対応等に十分考慮し、極力、早期の次期カードの導入を目指し、引き続き検討を進める。

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株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • 株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • eKYCツールProTech ID Checker」を提供する株式会社ショーケースのeKYCコラム編集部です。実際にeKYCを日々営業活動&製品提供するスタッフがコラムの執筆から編集まで行っています。

    このコラムではProTech ID CheckerやProTech AI Maskingに関わる、法令・商品の機能・導入事例や統計などをまとめて随時提供していきます。