2026年4月改正予定|携帯電話不正利用防止法とは?本人確認への影響と対応

携帯電話不正利用防止法は、携帯電話の不正契約や不正譲渡、名義貸しといった行為を抑止することを目的とした法律です。携帯電話やSIMカードの契約時における厳格な本人確認の実施や、その記録の保存を事業者に義務付けており、不正利用防止のための重要な法制度として位置付けられています。
2026年4月施行予定の改正では、オンラインにおける本人確認について、マイナンバーカードによる認証へ原則一本化されることが決定しました。従来の方法は一部廃止・禁止とされるため、適切に対応できるように準備が欠かせません。
そこで本記事では、携帯電話不正利用防止法とは何か解説するとともに、改正の内容や対象となる範囲、罰則まで整理してお伝えします。
携帯電話不正利用防止法とは?

携帯電話不正利用防止法は、携帯電話の契約時における本人確認を徹底し、不正契約・不正譲渡を罰することを定めた法律です。正式名称を「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」といい、2005年に成立し、2006年の4月に全面的に施行されました。
携帯電話不正利用防止法が制定された背景には、携帯電話による犯罪の増加が見られます。当時の日本では、携帯電話の普及に伴って、振り込め詐欺などの犯罪に悪用されるケースが増加していました。プリペイド式で本人確認が不要な製品も多く、身元を特定されにくいためです。
携帯電話の悪用をこれ以上に広げないためにも、携帯電話不正利用防止法を施行し、契約時における厳格な本人確認が義務付けられました。この法律により、携帯電話事業者は顧客の氏名や住所、生年月日などの本人確認事項を確認し、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類で照合することが必須となっています。
【2026年4月施行予定】携帯電話不正利用防止法改正の内容
携帯電話不正利用防止法は、社会情勢や犯罪手口の変化に合わせて数回の改正が行われてきました。2026年4月にも、新たな改正法の施行が予定されています。
令和5年6月9日に閣議決定された内容は、次の通りです。
“犯罪による収益の移転防止に関する法律、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に基づく非対面の本人確認手法は、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。対面でも公的個人認証による本人確認を進めるなどし、本人確認書類のコピーは取らないこととする。”
引用元:引用元:携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認方法の見直しの方向性について|総務省
つまり、現行法では可能とされていた次の3つが廃止・禁止とされ、マイナンバーカードのICチップ読み取りが中心になります。
- 廃止:本人容貌撮影+写真付き本人確認書類撮影による本人確認
- 廃止 :本人確認書類の写し+転送不要郵便等による本人確認
- 禁止:非対面での顔写真のない書類送付による本人確認(一部書類を除く)
新たに改正することとなったのは、携帯電話の契約が対面(オフライン)からオンライン上に変わったことで、本人確認手法を拡充する必要があるほか、さらに厳格な不正利用防止策が求められるためです。
近年では、精巧に偽造された本人確認書類による不正契約が後を絶ちません。携帯サービスのIDやパスワードを不正に入手し、勝手に新たな回線を契約する手口も散見されています。こういった状況をふまえ、不正利用に対する対策強化が急がれていました。
その結果、本人確認書類の撮影や送付などによる手続きは廃止され、マイナンバーカードのICチップ読み取りに一本化されることとなったのです。
携帯電話不正利用防止法の規制対象

携帯電話不正利用防止法の規制対象は、大きく分けて事業者と契約形態の2つの観点から定められています。
事業者の観点から見た規制対象
事業者の観点から見た規制対象は、次の4つです。
大手キャリアと呼ばれるNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクなどはもちろん、近年ニーズを集めている格安SIM事業者・MVNO(仮想移動体通信事業者)も対象となります。
大手キャリア・格安SIM問わず、音声通話サービスを提供している事業者は対象となると言っていいでしょう。
そのため、今回の改正においては、音声通話ができずデータ通信のみを提供するSIMカードは規制対象外です。
携帯電話のレンタルを行っている事業者に関しても、利用者の本人確認が求められます。レンタル期間の長短は関係なく、仮に1日のレンタルであっても本人確認が必須です。
03や06などで始まる0ABJ型のIP電話については、改正前から携帯電話不正利用防止法の規制を受けるものとされていました。
しかし、特定IP電話番号(050)による犯罪利用が増えたことを理由に、2024年4月1日の改正より特定IP電話番号(050)のサービス提供業者も対象となっています。
携帯電話事業者に代わって契約業務を行う代理店に関しても、本人確認を求められます。店頭・オンラインどちらにおいても、契約完了までに本人確認が欠かせません。
契約形態の観点から見た規制対象
契約形態の観点から見た規制対象は、次の5つです。
新しく携帯電話を契約する際には、これまで通り本人確認が必須です。この場合、通常の音声通話契約に加え、データ通信と音声通話がセットになったスマートフォンの契約も対象となります。
契約者情報に変更がある場合や、停止させていた回線を再開する場合、本人確認が求められる場合があります。
携帯電話の譲渡や譲受によって契約者名義が変わる場合、新しい契約者の本人確認が必須です。仮に家族間での譲渡であっても、申込手続きと本人確認が求められます。
元来から犯罪に悪用されやすい携帯電話ですが、現在では新規契約時の本人確認が厳格に行われています。チャージ型のサービスであっても、最初の契約時には対面またはオンラインでの本人確認が必要です。
SIMフリー端末を用意し、SIMカードだけを契約する形態の場合も、本人確認は必須となります。eSIMと呼ばれる物理的なカードがない契約形態でも同様です。
携帯電話不正利用防止法に準拠した本人確認
携帯電話不正利用防止法に準拠した上で、安全かつスピーディな本人確認を行う方法としてeKYCサービスがおすすめです。
手間と時間がかかる対面や郵送対応を伴う本人確認方法ではなく、オンラインの非対面本人確認を行うことで、安全でありながらスピーディな本人確認を行うことができます。
ユーザー側としては、対面や郵送対応などの手間がかからないというメリットがあります。
事業主側としては、対面や郵送対応に伴う本人確認作業の工数・コストを削減することができ、ユーザーの申込時の途中離脱を防止することができる等のメリットがあります。
株式会社ショーケースが提供する、オンライン本人確認/eKYCツール「ProTech ID Checker」では、携帯電話不正利用防止法にも準拠した本人確認を行うことができます。公的個人認証サービス(JPKI)にも対応しています。
携帯電話不正利用防止法に準拠した本人確認
今回の改正により、本人確認は方式ごとに次のように変更される予定です。個人が携帯電話を契約する際には、本人確認事項として氏名・住所・生年月日の3つを確認することが法律で義務付けられています。
対面で手続きを済ませる場合、現在の携帯電話不正利用防止法に則った本人確認方法は以下の通りです。

引用元:携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認方法の見直しの方向性について|総務省
オンラインの場合、現在の携帯電話不正利用防止法に則った本人確認方法は以下の通りです。

引用元:携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認方法の見直しの方向性について|総務省
上記のうち「ハ」と「ヘ」の手法に関しては2026年の改正で廃止されるため注意しましょう。
本人確認後に対応が必要なこと「本人確認記録」の保存
携帯電話不正利用防止法では、本人確認を実施するだけでなく、その記録を適切に保存することも事業者に義務付けられています。
本人確認記録の様式はとくに定められていませんが、次の6点については記載が義務付けられているため、もれなく記録し適切に保管しましょう。
- 本人確認を行った者の名前
- 本人確認記録を作成した者の名前
- 本人確認を行った日
- 本人特定事項
- 本人確認書類
- その他本人確認関連事項
保存期間は、契約終了日から3年間です。契約が継続している間はもちろん、解約後も一定期間は記録を保管しなければならないので、契約終了時に誤って処分しないように注意してください。
記録の保存方法については、紙媒体・電子データのどちらであっても問題ありませんが、いずれの方法であってもデータの紛失や改ざんがないように対策を取りましょう。
また、上記の6項目の内容が記載されている場合、本人確認書類のコピーも本人確認記録として認められます。しかし、マイナンバー(個人番号)が記載されている書類に関しては、適切にマスキング処理を行ってください。
携帯電話不正利用防止法に違反した場合の罰則

携帯電話不正利用防止法には、違反行為に対する罰則規定が設けられています。
主な罰則規定は次の通りです。
- 携帯電話の契約時に本人確認情報について虚偽の申告をした場合
- 自己名義の携帯電話を携帯電話事業者に無断で譲渡した場合
- 他人名義の携帯電話を譲渡したり、譲り受けた場合
- 他人の名義になっている携帯電話を仕事として譲渡したり、譲り受けた場合
- 携帯電話のレンタル行為を業として行っているにも関わらず、貸与の相手方の本人確認を怠った場合
- 携帯電話事業者や代理店が、携帯電話の契約時及び譲渡時に本人確認を行わなかった場合。あるいは本人確認記録を保存しなかった場合
→隠蔽目的と判断された場合、50万円以下の罰金。
→携帯電話事業者の承諾を得ずに有償で譲渡すると2年以下の懲役又は300万円以下の罰金。勧誘・広告行為についても50万円以下の罰金。
→50万円以下の罰金
→2年以下の懲役又は300万円以下の罰金。勧誘・広告行為についても50万円以下の罰金。
→2年以下の懲役又は300万円以下の罰金。勧誘・広告行為についても50万円以下の罰金。
→総務大臣による是正命令が下されるほか、命令に違反すると、2年以下の懲役または300万円以下の罰金。
内部監査を定期的に行い、手続きが適切に実施されているかチェックすることも効果的です。
携帯電話不正利用防止法に準拠したeKYC(オンライン本人確認)の手法

デジタル化の進展により、携帯電話の契約もオンラインで完結できるようになりました。このオンラインにおける本人確認を実現する技術が、eKYC(electronic Know Your Customer:電子本人確認)です。
eKYCで可能となるのが、スマートフォンのカメラを使った本人確認です。専用のアプリやWebサイトにアクセスし、本人確認書類のカメラ撮影やICチップ読み取り、セルフィー撮影(容貌撮影)を行うことでオンライン上での本人確認が完結します。マイナンバーカードなどのICチップを活用した本人確認は、2026年の携帯電話不正利用防止法の改正に伴ってより重要性が増すため、最新の法改正にキャッチアップできる本人確認手法としてニーズが高まっています。
最近では、AIを活用した自動照合システムも普及しつつあり、本人確認書類の画像から必要な情報を高精度で抽出し、顔写真や申込内容との照合を自動で行えるものも登場しました。この場合、AIで否認された申込を中心にチェックすれば済むので、本人確認の認証・否認証の判断をよりスピーディに行えます。
「本人確認に手間がかかっている」「適切に処理できているか不安」とお悩みの場合、予期せぬ法令違反や罰則を防ぐためにも、eKYCサービスを導入してみましょう。
まとめ
携帯電話不正利用防止法は、携帯電話が犯罪に悪用されることを防ぎ、安全な通信環境を実現するための重要な法律です。2026年4月には、近年のデジタル化に対応した新たな改正法が施行されます。
違反に対しては厳しい罰則が設けられており、本人確認義務違反には懲役や罰金が科される可能性も少なくありません。事業者はコンプライアンス遵守体制を整備し、従業員への教育や内部監査を通じて、適切な運用を継続しましょう。
携帯電話の契約時における厳格な本人確認と、その記録の保存について「きちんと対応できるか心配」という方は、eKYCと呼ばれるオンライン本人確認サービスがおすすめです。eKYCであれば、スマートフォンのカメラやAIを活用することで、場所や時間を問わず本人確認が可能となります。事業者だけでなく、利用者にとっても便利な手法と言えるでしょう。
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