eKYCサービス比較|方式の違いとおすすめ6選【対面IC認証も解説】

eKYCサービスは、用途に応じて「本人確認の方式」で選ぶのが最適です。また、「eKYCサービスの比較」だけでなく、「方式理解」が重要です。

特に、オンライン完結型だけでなく、対面IC認証にも対応できるかどうかも、今後の重要な判断基準になります。

本記事では、eKYCの方式ごとの違いと選び方、主要サービスの比較を解説します。

eKYCの主な方式と違い

ポイント:eKYCは複数の方式があり、用途によって最適解が異なります。

eKYC方式の違い

方式(法令区分) 特徴 メリット 注意点 向いているケース
ホ方式(画像送信) 本人確認書類の画像と顔写真をオンラインで送信し確認する方式。 導入しやすく、オンラインで完結できる。 なりすまし対策の観点で厳格性に課題があるとされ、見直しの議論あり。 EC、SaaS、非対面サービス全般。
へ方式(ICチップ+容貌) ICチップ情報と顔認証を組み合わせて本人確認を行う方式。 ホ方式より高い信頼性・不正対策が可能。 IC対応端末(NFCスマートフォン)が必要。 金融、通信など厳格な本人確認が求められる業界。
カ方式(ICチップ読取) ICチップの情報を読み取り本人確認を行う方式。
※JPKI(公的個人認証)を含む
非常に高い本人確認精度・法令対応に強い。 IC読取環境や対応端末が必要。 金融機関、行政手続きなど高信頼性が求められるケース。
対面IC認証(対面取引) 店頭・窓口でICチップを読み取り本人確認を行う方式。 対面での確実な本人確認が可能。 店舗オペレーションの設計や端末準備が必要。 金融機関、店舗、窓口業務。
クロスデバイス(実装手法) PCとスマートフォンを連携し、本人確認を実施する方法。 PC申込にも対応でき、UX改善が可能。 方式ではなく実装手法のため、単体では本人確認が成立しない。 PC申込、対面・非対面のハイブリッド運用。

※各方式は犯罪収益移転防止法に基づく本人確認方法の一部です。
※JPKI(公的個人認証)とは、マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を利用し、本人確認を行う仕組みです。カ方式の中でも特に高い信頼性を持つ手法として利用されています。

目的別)どのeKYC方式を選ぶべきか

目的 最適な方式 理由
手軽に導入したい 撮影方式 本人確認書類と顔写真の撮影で完結し、オンライン本人確認を始めやすいため。
不正対策を強化したい IC認証(JPKIなど) ICチップ情報を読み取るため、本人確認の信頼性を高めやすいため。
店頭・窓口で本人確認したい 対面IC認証 来店時にICチップを読み取り、対面取引に適した確認ができるため。
PC申込や複数チャネルに対応したい クロスデバイス認証 PCとスマートフォンを連携し、利用シーンに応じた柔軟な本人確認ができるため。

ホ方式(画像送信)

ホ方式は、本人確認書類の画像と顔写真をオンラインで送信して本人確認を行う、最も一般的なeKYC方式です。多くのサービスで採用されており、スピーディーに導入できる点が特徴です。

  • ・オンラインで完結する本人確認
  • ・導入ハードルが低い
  • ・多くのeKYCサービスで採用

ホ方式は、スマートフォンで本人確認書類と顔写真を撮影し、そのデータをもとに本人確認を行う方式です。

開発負荷が低く、短期間で導入できることから、多くの企業で採用されています。特にECやSaaSなどの非対面サービスでは、ユーザーの利便性を損なわずに本人確認を実施できる点が評価されています。

一方で、IC認証と比較すると不正対策の観点で課題があるとされており、近年ではより厳格な本人確認方式への移行も検討されています。

へ方式(ICチップ+容貌)

へ方式は、ICチップ情報の読み取りと顔認証を組み合わせて本人確認を行う方式で、ホ方式よりも高い信頼性を確保できる点が特徴です。不正対策を強化したい企業に適しています。

  • ・ICチップ+顔認証で精度向上
  • ・不正対策に強い
  • ・法令対応に適した方式

へ方式は、本人確認書類のICチップから取得した情報と、ユーザーの顔認証を組み合わせて本人確認を行う方式です。

ホ方式と比較して、なりすまし防止などの不正対策に優れており、より厳格な本人確認が求められる業界で採用が進んでいます。

特に金融機関や通信事業者では、本人確認の精度とセキュリティの両立が求められるため、この方式の重要性が高まっています。ただし、ICチップの読み取りにはNFC対応スマートフォンが必要となるため、ユーザー環境への依存がある点には注意が必要です。

カ方式(ICチップ読取)

カ方式は、ICチップの情報を直接読み取ることで本人確認を行う方式で、法令上も高い信頼性を持つ方法です。JPKI(公的個人認証)を含む方式として、厳格な本人確認に適しています。

  • ・ICチップ読取による高精度認証
  • ・法令対応に強い
  • ・JPKIを含む方式

カ方式は、マイナンバーカードや運転免許証などに搭載されたICチップの情報を読み取り、本人確認を行う方式です。

電子証明書を利用するJPKI(公的個人認証)もこの方式に含まれ、高い信頼性を持つ本人確認手法として広く利用されています。金融機関や行政手続きなど、厳格な本人確認が求められる領域では特に重要な方式です。

一方で、ICチップの読み取りには専用アプリや対応端末が必要となるため、導入やユーザー体験の設計が重要になります。

イ方式(対面IC認証)

対面IC認証は、店舗や窓口でICチップを読み取って本人確認を行う方式で、対面取引において最も確実な方法の一つです。法改正の影響もあり、重要性が高まっています。

  • ・店頭・窓口での本人確認
  • ・高い信頼性
  • ・法改正で重要性上昇

対面IC認証は、金融機関や店舗の窓口などで、本人確認書類のICチップを直接読み取ることで本人確認を行う方式です。

対面での確認とICチップによる情報取得を組み合わせることで、非常に高い信頼性を確保できます。近年は法改正の影響もあり、従来の目視確認だけでは不十分とされるケースが増えており、この方式の導入検討が進んでいます。

ただし、店舗オペレーションや端末の準備が必要となるため、現場運用を含めた設計が重要になります。

クロスデバイス(当社独自機能)

クロスデバイスは、PCとスマートフォンを連携して本人確認を行う実装手法です。方式そのものではなく、複数の本人確認方式を柔軟に運用するための仕組みとして活用されます。

  • ・PC+スマートフォン連携
  • ・店頭・窓口での利用も可能
  • ・柔軟な運用が可能

クロスデバイスは、PCでの申込とスマートフォンでの本人確認を連携させる実装手法です。例えば、店頭や窓口でPCで入力した後にQRコードをスマートフォンで読み取り、IC認証や撮影を行うといったフローが可能です。

この方法により、PC申込の利便性とスマートフォンの認証機能を両立することができます。なお、クロスデバイスはあくまで実装手法であり、単体で本人確認が成立する方式ではありません。

複数の方式を組み合わせることで、ユーザー体験とセキュリティの両立を実現します。

eKYCサービスを比較するポイント

eKYCサービスを比較する際のポイントは主に以下6点です。

eKYCサービスを比較するポイント
  • 提供形態
  • コスト
  • カスタマイズ性
  • セキュリティ
  • ユーザー側の使いやすさ
  • 業務工数削減・コスト削減につながるか
提供形態

主に「アプリ型」「ブラウザ型」の2パターンがあります。自社サービスの提供形態やユーザー層等を考慮して検討が必要です。

◆ブラウザ型:デバイス問わずブラウザ上で本人確認を行う。
◆アプリ型:アプリをインストールし、アプリ上で本人確認を行う。

コスト

eKYCサービスは初期費用+月額基本料+月額利用料(従量課金)の料金形態となっているケースが多いです。
ツールによっては、初期費用が不要ものや少ない件数から導入が可能なものなど様々です。導入の予算感に合うサービスかどうか比較検討しましょう。

カスタマイズ性

自社の基幹システムとの連携可否や、既存の本人確認業務フローに組み込めるかどうかは、重要な比較ポイントの一つです。あわせて、本人確認業務のアウトソーシング(BPO)に対応しているかについても、自社の運用方針に応じて比較検討するとよいでしょう。

セキュリティ

eKYCサービスでは、本人確認を行う為に必要な本人確認書類や容貌画像など様々な個人情報を取り扱うため、どのようなセキュリティ対策が取られているかは非常に重要なポイントになります。

ユーザー側の使いやすさ

本人確認書類や容貌撮影時の撮影において操作方法・手順が分かりやすいか、エラーがなくスムーズに操作を完了できるかなど、比較検討が必要です。ユーザーが使いやすいかどうかが離脱率に影響してきます。

業務工数削減・コスト削減につながるか

本人確認業務に要していた業務工数やコストと、eKYCツールの導入に必要な費用および導入後の月額費用を比較し、費用対効果を定量的に試算することが必要です。

目的別に見るおすすめeKYCサービス

サービス 撮影方式 IC認証 対面対応 導入方法 特徴
TRUSTDOCK API 柔軟性
LIQUID eKYC × API / SDK UX・画像認識
ネクスウェイ本人確認サービス BPO 運用支援
Polarify eKYC API セキュリティ
NEC Digital KYC API 認証精度
ProTech ID Checker ローコード / API 一元管理

※各項目は公開情報およびサービスの特徴をもとに整理したものです。対応範囲や提供条件は変更される場合があるため、詳細は各サービス提供元へご確認ください。
※「対面対応」は、店頭・窓口など対面取引での本人確認に活用できるかを示しています。

TRUSTDOCK

特徴:API中心で柔軟な本人確認が可能

TRUSTDOCKは、API連携を前提とした柔軟な本人確認基盤を提供しており、さまざまな業種・業態に対応できる点が特徴です。

本人確認の方式も幅広く、撮影方式やIC認証など複数の手法を組み合わせて利用できます。

自社の既存システムと連携しながら最適な本人確認フローを構築したい企業に適しており、特に開発リソースを持つ企業や独自のUX設計を行いたいケースに向いています。

一方で、API連携が前提となるため、一定の開発工数が発生する点には注意が必要です。

LIQUID eKYC

特徴:UI/UXと画像認識に強み

LIQUID eKYCは、オンライン本人確認に特化したサービスで、特にユーザー体験(UI/UX)と画像認識精度の高さに強みがあります。

SDKやAPIでの提供により、大規模な本人確認にも対応できる設計となっており、ECやフィンテックサービスなどで多くの導入実績があります。

本人確認時の離脱を抑える設計やガイドUIが整備されているため、ユーザーの操作負担を軽減しながらスムーズな本人確認が可能です。

ただし、対面での本人確認には対応していないため、オンライン完結型のサービスに適しています。

ネクスウェイ本人確認サービス

特徴:BPO含めた運用支援

ネクスウェイ本人確認サービスは、本人確認の仕組み提供だけでなく、BPO(業務委託)による運用支援を含めたトータルサービスが特徴です。

本人確認業務を自社で運用するリソースが不足している企業でも導入しやすく、審査業務のアウトソーシングにより運用負荷を大幅に軽減できます。

オンライン本人確認に加え、一部対面対応にも対応可能で、柔軟な運用設計が可能です。

特に、運用コストや人的リソースの最適化を重視する企業に適した選択肢となります。

Polarify eKYC

特徴:金融レベルのセキュリティ

Polarify eKYCは、金融機関レベルのセキュリティを前提に設計された本人確認サービスで、高い信頼性を求める企業に適しています。

IC認証やJPKIにも対応しており、厳格な本人確認が求められる業界でも安心して利用できる点が特徴です。

三井住友フィナンシャルグループの知見を背景に、セキュリティと法令対応の両面で強みを持っています。

オンライン・対面双方の本人確認に対応できるため、金融や不動産など、高度な本人確認が必要な業種での導入に向いています。

NEC Digital KYC

特徴:高精度AIエンジン

NEC Digital KYCは、世界トップクラスの顔認証技術を活用した本人確認サービスで、高精度な認証が求められるケースに適しています。

グローバルでの実績も豊富で、大規模なユーザー基盤を持つサービスにも対応可能です。特に、不正検知やセキュリティレベルを重視する企業にとって有力な選択肢となります。

IC認証にも対応しており、厳格な本人確認フローの構築が可能です。一方で、導入には一定の開発対応が必要となるため、システム連携を前提としたプロジェクトに向いています。

ProTech ID Checker

特徴:開発不要。対面・オンラインを一元管理できるトータルKYC

ProTech ID Checkerは、オンライン本人確認(eKYC)と対面IC認証を一元管理できるトータルKYCサービスです。

タグ設置のみで導入できるローコード型を採用しており、開発不要で短期間に導入できる点が大きな特徴です。

撮影方式・IC認証・対面対応など複数の本人確認方式に対応しており、業務フローに応じて柔軟に組み合わせることが可能です。また、クロスデバイスによる本人確認にも対応しており、PC申込や店頭対応など幅広いシーンで活用できます。

対面とオンラインを分断せずに運用したい企業に適したサービスです。

ProTechコラム編集部
  • ProTechコラム編集部
  • ProTechコラム編集部は、eKYCサービス「ProTech ID Checker」を提供する株式会社ショーケースのメンバーで構成されています。

    日々、金融・通信・不動産など幅広い業界の本人確認業務に向き合う営業・企画・プロダクト担当が、現場で得た知見をもとに執筆・編集を行っています。

    本コラムでは、法令動向や実務に役立つポイント、導入事例やプロダクト情報をわかりやすく整理し、意思決定に役立つ情報を継続的に発信していきます。