不動産仲介業務の本人確認のオンライン化とは

はじめに

コロナの流行により非対面・居住地の分散化が新常識となりつつある今、不動産仲介の分野においても業務のDX(不動産DX)は避けては通れない課題となっております。

今回は、不動産業界における非対面取引方法について解説いたします。

IT重説から始まった不動産非対面化

平成29年10月から「重要事項説明」のIT化、いわゆるIT重説が賃貸業務で本格導入されました。また、令和3年4月より不動産売買のIT重説も社会実験の結果、本格導入の検討が開始されています。

「IT重説とは、テレビ会議等のITを活用して行う重要事項説明を言います。IT重説では、パソコンやテレビ、タブレット等の端末の画像を利用して、対面と同様に説明を受け、あるいは質問を行える環境が必要となります。
『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』では、IT重説を対面による宅建業法第 35 条の重要事項説明と同様に取り扱うものとしています。」
出典:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001397149.pdf

上記の通知では下記4つの要件を満たす場合、対面の重要説明事項と同等に扱うとされています。

  1. 双方向でやりとりできるIT環境において実施
  2. 重要事項説明書等の事前送付
  3. 説明の開始前に相手方の重要事項説明書等の準備とIT環境の確認
  4. 宅地建物取引士証を相手方が視認できたことの画面上での確認

現状IT重説の導入は下図の通り、令和3年4月より賃貸及び不動産売買で運用されています。また同時に電子契約の社会実験も開始されています。

まず2020年4月に改正された「犯罪収益移転防止法」では司法書士・行政書士・公認会計士・税理士等の「特定業務」のうちの「特定取引」等を行う際には本人特定事項の確認が必要と定められています。

IT重説
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000092.html

IT重説を行うことによるメリットに関して、国土交通省は大きく下記の4つを挙げています。

  • 遠隔地の顧客の移動や費用等の負担軽減
  • 重説実施の日程調整の幅の拡大
  • 顧客がリラックスした環境下での重説実施
  • 来店困難な場合でも本人への説明が可能

このように国土交通省に推進されているIT重説ですが、一方で下記のような問題点もあげられています。

  • 業者によっては設備やIT人材が不十分な場合がある
  • 契約者側の画像データの改ざんや書類偽造の懸念がある

非対面化を進めるためには本人確認のオンライン化が必須

IT重説により来店・来客の手間は減りましたが、各種契約書類の押印や本人確認業務に関しては、上記の問題点にもあるようにデジタル化が進んでないというのが現状です。

手続きを非対面化するためには、同時に本人確認のオンライン化も必須になります。特に宅地建物取引業者は犯罪収益移転防止法の特定事業者に該当するため、犯収法の規定に沿ったオンライン本人確認が義務付けられています。

宅地建物取引業者に当てはまる事業は下記です。

  1. 自らが行う宅地や建物の売買や交換
  2. 売買や交換、貸借をするときの代理や媒介

→犯罪収益移転防止法について詳しくはこちら

また不動産取引をオンライン完結する方法は電子証明法を利用する方法がありますが、相手方が個人か法人かで手法が異なります。

  • 個人の場合:電子署名法又は公的個人認証法に基づく方法
  • 法人の場合:商業登記法に基づく方法

このようにハードルが高く思える不動産取引のオンライン化ですが、非対面化とオンライン本人確認の導入により取引の効率化という大きなメリットが見込めます。

特に不動産売買に関しては関係者も多く、契約の手続きも複雑。従来の対面での契約では住所や氏名等の手書き記入、捺印が数十回も必要になるため非効率です。

契約のDXやオンライ本人確認の導入効果はきわめて高い分野と言えるでしょう。

株式会社ショーケースのオンライン本人確認で取引の非対面化

株式会社ショーケース(以下当社)は金融業界、古物商、古物商、人材、教育、士業、シェアリングサービス、そして不動産業まで非対面における本人確認業務のオンライン化を推進しています。

特にコロナ蔓延における社会的ニーズ「非対面業務の拡充」に対応すべくサービス強化に尽力しております。

→eKYCとは?

ProTech ID Checker の本人容貌・本人確認書類撮影について

ショーケースのカンタンeKYC「ProTech ID Checker」は、犯罪収益移転防止法の要件である下記の要件に沿っています。

  • 書類の真贋判定のため厚み等の特徴を捉える必要
  • ライブネスかつ一連での撮影でなければならず、ランダムな指示などが必要
  • 画像の保管が必要
ProTech ID Checker管理画面

また対象WEBサービスにJava Scriptのタグ一行で導入できるため、大がかりなシステム開発も不要、低コストで導入いただけます。

→ショーケースのカンタンeKYC「ProTech ID Checker」については詳細こちら

既に当社では賃貸業務におけるオンライン本人確認の導入事例もあり、簡易な導入で省力化を図れることで好評を得ています。

ProTech AI Masking の保険証マスキングについて 

また、2020年10月の「医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について」により保険証のマスキングが必要になりました。

これにより書類マスキングの工数増加や書類不備の増加が課題になっている不動産業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

ショーケースの「ProTech AI Masking」は、送信された本人確認書類の画像データの該当箇所を、所定のフォーマットに沿って自動でマスキングするサービスです。

AIを使って自動的にマスキングを行うだけでなく、ご希望に応じてBPOによる最終チェックも行い理想的なマスキングも実現できます。

法改正によりマスキングをお客さまにお願いせざるを得ない、社内でチェックをしているが想像以上に手間がかかっている等のお悩みを解決できます。

→「ProTech AI Masking」について詳細はこちら

まとめ

  • IT重説による非対面取引は、業務効率化や顧客負担の軽減の面でメリットがある
  • 不動産の非対面取引にはオンライン本人確認が必要
  • 「ProTech ID Checker」は少ない工数でオンライン本人確認が導入可能

株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • 株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • eKYCツールProTech ID Checker」を提供する株式会社ショーケースのeKYCコラム編集部です。実際にeKYCを日々営業活動&製品提供するスタッフがコラムの執筆から編集まで行っています。

    このコラムではProTech ID CheckerやProTech AI Maskingに関わる、法令・商品の機能・導入事例や統計などをまとめて随時提供していきます。