SMS認証とは?携帯電話番号を使った本人確認の仕組みと導入方法

オンラインサービスやアプリケーションなどの利用において、不正アクセスや個人情報の漏えいは非常に大きな問題とされています。こういったセキュリティリスクへの対策として、多くの企業・サービスで取り入れられているのがSMS認証です。
そこで本記事では、SMS認証とは何かを基本から解説するとともに、メリット・デメリットや、より高度なセキュリティ環境を実現する方法まで解説します。
SMS認証とは
SMS認証とは、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を利用した本人確認の方法です。ユーザーが登録した携帯電話番号宛てに、数桁の認証コードをワンタイムパスワードとして送信し、そのコードを正しく入力できるかどうかで本人確認を行います。
SNSやネットショップ、フリマアプリやオンラインバンキングなど、個人情報や決済情報を扱うサービスで広く使用されています。


SMS認証の仕組み
SMS認証の基本的な流れは、次のステップで構成されています。
- 携帯電話番号の入力
- SMS(ショートメッセージ)の送信
- 認証コードの入力
- コードの一致確認・認証成功
ユーザーがサービスのアカウントを新規登録する/ログインする際に、携帯電話番号を入力します。
システムのAPI連携(※)により、ユーザーが入力した電話番号宛に、4〜8桁ほどのランダムに生成された認証コードがSMS(ショートメッセージ)で送信されます。
※API(Application Programming Interface)を利用して、アプリケーションやシステム間でデータを連携し、機能を拡張すること。
メッセージを受信したユーザーは、記載されている認証コードをサービスの登録画面/ログイン画面などに入力します。認証コードには有効期限が設定されており、数分〜10分ほどで無効化されてしまうため、期限を過ぎてしまうと使用できません。
また、一度入力された認証コードは使用できない仕組みとなっており、コードの使い回しが防止されています。
サービスのシステムは、送信したコードと入力されたコードが一致しているか確認します。一致すれば認証成功、不一致であれば認証失敗となり、新規登録やログインなどはできません。
SMS認証のメリット

SMS認証には、サービス提供者とユーザーの両方にとって、さまざまなメリットがあります。ここでは主なメリットを詳しく見ていきましょう。
SMS認証の最大のメリットは、セキュリティレベルが大幅に向上することです。サービスのログイン時に広く使われているのはIDとパスワードですが、この2つだけで認証できる場合、不正アクセスのリスクがどうしても高まります。
「パスワードは自分しか知らないから問題ない」と思っていても、パスワードクラッキング(データ解析で不正にパスワードを割り出すこと)の被害にあい、アカウントを乗っ取られてしまうケースもめずらしくありません。
しかし、SMS認証を追加することで、仮にパスワードが漏えいしたとしても、攻撃者は本人の携帯電話にアクセスできなければログインできません。ID・パスワードとSMS認証を組み合わせて二重の防御壁ができることで、アカウントの乗っ取りや不正アクセスを効果的に防止できます。
SMS認証は、ボットや自動化ツールによる不正アカウント作成を防ぐ効果もあります。
携帯電話番号は一人が複数取得することが難しく、取得するにしても多くのコストがかかるため、スパムアカウントの作成においては大きなハードルとなるためです。
SNSやフリマアプリなどでは、虚偽のアカウントが大量に作られてしまうと、サービスの信頼性が損なわれます。そこでSMS認証を導入することにより、不正アカウントの大量発生を抑制し、安全なコミュニティを維持します。
SMS認証は、ユーザー側で特別な準備や設定を行う必要がありません。携帯電話を所持していれば、誰でもすぐに利用できます。専用アプリのダウンロードや複雑な設定も不要なので、ITリテラシーが高くないユーザーでもスムーズに認証プロセスを完了できます。
ユーザーにとって負担が多く、登録やログインに手間がかかってしまうと、「やっぱり登録しなくていいや」「面倒だから注文はやめておこう」といったユーザーの離脱につながってしまうため、SMS認証のシンプルさは大きな魅力です。
SMS認証は、スマートフォンだけでなく従来型の携帯電話でも利用できるため、幅広い年齢層や多様なデバイスを利用するユーザーに対応可能です。
例えば、高齢者向けサービスでは、スマートフォンではなく従来型の携帯電話(いわゆるガラケー)を利用しているケースも少なくありません。そのような場合でも、SMSであれば問題なく受信できるため、本人確認手段として有効に活用できます。
サービス提供者側から見ても、SMS認証は導入しやすいセキュリティ対策です。SMS認証を導入する際、専用のハードウェアや複雑なインフラ構築は必要ありません。SMS送信APIを利用すれば、比較的短期間で実装できます。
また、SMS送信には1通あたり数円程度のコストがかかるものの、運用コストは比較的抑えられるのもうれしいポイントです。セキュリティ侵害による損失と比較すれば、十分にコストパフォーマンスの高い施策でしょう。
SMS認証のデメリット

多くのメリットがあるSMS認証ですが、いくつかの課題やデメリットも存在します。導入を検討する際には、次の5点も理解しておきましょう。
ユーザーのスマートフォンや携帯電話の設定により、SMSの受信が拒否されている場合、認証コードが届きません。
この場合、ユーザー自身に受信設定を変更してもらう必要があるため、サービス側は受信設定の確認を促す必要があります。あるいは、代替の認証方法を用意することでユーザーの離脱を防ぎましょう。
一部の格安SIMやデータ専用プランでは、SMS機能を利用できない場合があります。この場合も、SMS以外の認証手段を用意しておかなければ、多くのユーザーが登録/ログインできず売上に悪影響を及ぼしかねません。
近年、格安SIMの利用者が増加しているため、SMS認証だけに依存するのはなるべく避けるのが賢明です。
SMS認証に登録した携帯電話を紛失したり故障したりすると、認証コードを受け取れなくなります。この場合、ユーザーは自分のアカウントにログインできなくなるため注意が必要です。
こういった万が一の際に備えて、バックアップコードの発行や別の連絡先の登録、本人確認書類の送付による認証解除など、緊急時の対応策を用意しておきましょう。
SMS認証を利用する際、ユーザーはIDとパスワードに加えて「携帯電話番号」という個人情報を提供します。サービス側でこの情報が適切に管理されなければ、個人情報漏洩のリスクが生じるため注意が必要です。
また、SMS認証の場合はSIMスワップ詐欺への対策も欠かせません。SIMスワップ詐欺とは、他人の電話番号を自分のSIMカードへ不正に移行し、電話番号を乗っ取ってしまう行為のことで、SMS認証を不正に突破されてしまうリスクがあります。
アプリへ不正にログインされ、意図しないままに、決済や送金が行われたり銀行口座やクレジットカードに申し込まれるなどの「SIMスワップ詐欺」の事例が確認されています。こういった不正行為を未然に防ぐためにも、より高度なセキュリティ対策との組み合わせが重要です。
SMS認証は、ユーザーやデバイスを選ばず誰でも使いやすい認証方法である一方で、「ログインのたびにコードを入力するのは面倒」と思うユーザーも少なくありません。また、システムや電波の状況によってSMSの送信が遅れてしまったり、届かなかったりすると、ユーザーの離脱につながる可能性があります。
SMS認証の活用例

SMS認証は、さまざまな業界やサービスで幅広く活用されています。SMS認証の活用例をご紹介します。
- 金融機関での振り込みやログイン時
- 決済サービスやECサイトへのログイン・購入時
- チケット購入時の転売対策
- メールアドレス取得やオンラインサービスの本人確認
金融機関での振り込みやログイン時
銀行やクレジットカード会社では、ログイン時や高額振り込みの際などにSMS認証を導入しています。登録済みの携帯電話番号に認証コードを送信して入力を求めることで、第三者によるアクセスや金銭的被害を防止できるためです。
不正送金やクレジットカードの不正利用を防止するために、SMS認証による本人確認が効果的とされています。
決済サービスやECサイトへのログイン・購入時
キャッシュレス決済サービスやECサイトでは、ログイン時や商品購入時にSMS認証が行われる場合があります。こういったサービスでは、クレジットカード情報や個人情報を扱うため、なりすましによる不正購入を防止しなければなりません。
そんな時に便利なのがSMS認証です。初回ログインや高額商品の購入、配送先変更などの重要な操作時に認証を求めることにより、セキュリティを強化します。
SNSの新規アカウント作成やログイン時

Instagram、Facebookなどの主要SNSでは、新規アカウント作成時やログイン時にSMS認証を導入しています。これにより、bot(自動プログラム)によるアカウントの大量作成やスパム行為を防止できるためです。
また、不正ログインやアカウント乗っ取りの被害も減少し、なりすまし投稿による誹謗中傷や詐欺を防ぎます。
チケット購入時の転売対策
コンサートや舞台、スポーツイベントなどのチケット購入時にもSMS認証は導入されています。SMS認証によって、一つの電話番号につき購入枚数を制限すれば、転売目的の不正購入を抑制できるためです。
また、入場時に購入者本人の電話番号で再認証を行うシステムもあり、チケットの不当な高額での流通を防止しています。
メールアドレス取得やオンラインサービスの本人確認
GmailやYahoo!メールなどのフリーメール取得時、SMS認証は本人確認として活用されています。SMS認証を行うことで、捨てアカウントの大量作成を防ぎ、スパムメール送信やフィッシング詐欺などの悪用を抑制できるためです。
電話番号という希少性の高い識別情報を利用することで、サービスの健全性と信頼性を保っています。
本人確認に重要な「身元確認」と「当人認証」
本人確認には、「身元確認」と「当人認証」という二つの重要な概念があります。サービスにおいてより高度なセキュリティを実現するには、身元確認と当人認証の組み合わせが欠かせません。
■身分確認
身元確認とは、その人が誰であるかを確認するプロセスです。マイナンバーカードや運転免許証などの公的な身分証明書を用いて、氏名・生年月日・住所などの個人情報を確認します。
■当人認証
当人認証とは、サービスへのログインや商品の購入などをしようとしている人が、登録されている本人であるかを確認するプロセスです。SMS認証は、この当人認証に活用されます。
マイナンバーカードによる本人確認について詳しくは、以下の記事もご参照ください。~
二段階認証とは

オンラインにおける本人確認では、最低でも二段階認証を行うのが一般的になりつつあります。二段階認証とは、文字通り二つのステップで本人確認を行う方法です。一般的には、IDとパスワードでログインした後に、SMS認証コードの入力を求めるといった二段階を踏む流れになります。
この方式により、仮にパスワードが漏えいしても、二段階目の認証を突破できなければ不正アクセスを防げるのがメリットです。オンラインバンキングやネットショップなどの幅広いサービスにおいて、SMS認証による二段階認証が導入されています。
多要素認証とは

多要素認証とは、複数の異なる種類の認証要素を組み合わせる方法です。認証要素は主に知識・所有物・生体情報の3つに分類されます。
知識要素は、本人だけが知っている情報です。パスワードやPINコードのほか、「母親の旧姓は?」「ペットの名前は?」などの秘密の質問への回答が該当します。最も一般的な認証要素ではあるものの、単独では十分なセキュリティを確保できない点に注意が必要です。
所有物要素は、本人が所持しているものです。SMS認証で使用する携帯電話やICカード、認証アプリが入ったスマートフォンなどが該当します。物理的に所有していなければ認証できないため、セキュリティレベルは高いものの、所有物の紛失や盗難といったリスクに注意が必要です。
生体情報要素は、本人の身体的特徴です。指紋認証・顔認証・虹彩認証・声紋認証などが該当します。複製が極めて困難であるため、最も高いセキュリティレベルを実現可能です。
多要素認証では、上記三つのカテゴリから二つ以上の要素を組み合わせることで、非常に強固なセキュリティ環境を構築できます。
高度なセキュリティ対策にはeKYCとの組み合わせも!
SMS認証は当人認証として優れた方法ですが、さらに高度なセキュリティを求める場合には、eKYCと組み合わせることをおすすめします。eKYCとは、オンライン上で完結する本人確認の仕組みです。
スマートフォンのカメラで運転免許証やマイナンバーカードなどを撮影し、本人の自撮りを撮影することで、書類の真正性と本人の同一性を確認できます。
eKYCの大きなメリットは、身元確認と当人認証の両方を実現できる点です。SMS認証が当人認証のみをカバーするのに対し、eKYCであれば公的書類に記載された本人であることを証明できます。両者を組み合わせることで、初回登録時にeKYCで厳格に身元確認を行い、その後のログイン時にはSMS認証で簡単に当人認証を行うなど、セキュリティと利便性を両立した仕組みを構築できるでしょう。
なかでも、金融機関・不動産業界・人材派遣業など、法令で本人確認が義務付けられている業界では、eKYCとSMS認証の組み合わせはめずらしくありません。eKYCによる本人確認は、対面確認や郵送による本人確認と比較してユーザーの利便性が高く、事業者側のコストを削減できる点も人気を集めています。
まとめ
SMS認証は、携帯電話番号を活用した効果的な本人確認の手段で、セキュリティ対策の強化・不正アカウントの防止・ユーザーの負担軽減など、多くのメリットがあります。一方で、SMS受信設定の問題や格安SIMユーザーへの対応、デバイス紛失時のリスクなど、いくつかのデメリットもあるため注意しなければなりません。
これらの課題を理解した上で適切に導入・運用するには、より高度なセキュリティを実現する必要があるでしょう。そこでおすすめなのが、トータル本人確認(tKYC)サービスである「ProTech ID Checker」です。
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SMS認証を効果的に活用しつつ、eKYCを組み合わせることで、安全かつ快適なサービス環境を実現しましょう。
