司法書士の契約開始を早めるeKYC活用方法!

はじめに

オンライン本人確認(eKYC)は金融業界のみならず多くの業界で利用が活発になっています。

今回は、本人確認書類の作成が多い司法書士業界における「犯罪収益移転法改正」の当該箇所の解説とeKYCのユースケースについてご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進とオンライン業務の簡略化を検討中の司法書士の方の参考になれば幸いです。

「犯罪収益移転防止法」の司法書士に関わる該当条項

司法書士に当てはまる「犯罪収益移転防止法」の条項

まず2020年4月に改正された「犯罪収益移転防止法」では司法書士・行政書士・公認会計士・税理士等の「特定業務」のうちの「特定取引」等を行う際には本人特定事項の確認が必要と定められています。

司法書士に該当する特定業務

第四条の第一項 第二号では以下の行為の代理又は代行(特定受任行為の代理等)に係るものを特定業務と定めています。

  • 宅地又は建物の売買に関する行為又は手続
  • 会社等の設立又は合併等に関する行為又は手続
  • 現金、預金、有価証券その他の財産の管理・処分

※ 租税、罰金、過料等の納付は除く
※ 成年後見人等裁判所又は主務官庁により選任される者が職務として行う他人の財産の管理・処分は除く

司法書士に該当する特定取引

第四条の二項では以下の特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結を特定取引と定めています。

  • 宅地又は建物の売買に関する行為又は手続
  • 会社等の設立又は合併等に関する行為又は手続
  • 200 万円を超える現金、預金、有価証券その他の財産の管理又は処分

※ 任意後見契約の締結は除く
(特定業務から除かれているものは、特定取引にも該当せず、取引時確認の対象ではありません)

これらに則り、上記に当てはまる取引を行う際は運転免許証、運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード、旅券(パスポート)等の本人確認書類を用いて本人確認をする必要があります。

不動産取引等でのオンライン本人確認にまつわるリスク

司法書士業務において上記のような本人確認を怠った場合、大まかに2つに挙げられる罰則があるのはご承知のとおりかと思います。

  1. 戒告または2年以内の業務停止
  2. 犯罪収益の移転を助長し、不正な法的手続きが発生するリスク

2020年8月1日から「司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律」(令和元年法律第29号)が施行され、より適正・迅速な懲戒を実現するために、「司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準等)」が定められ、1の懲戒が設けられました。

しかしながら、デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進で本人確認の多くはオンライン化が進んでいます。

このような場合、司法書士業界では、DXを促進しつつ、どのようにして本人確認書類作成の手間を簡略化していけば良いのかを続いて紹介いたします。

犯罪収益移転防止法に基づいてオンラインで本人確認する方法

古物営業法に基づいてオンラインで本人確認する方法

オンラインでの本人確認が認められているのが、犯罪収益移転防止法の中の6条1項1号という条項です。

(ホ)本人確認書類の画像送信+本人容貌の画像送信
本人確認書類の画像、例えば運転免許書やマイナンバーカードの画像と本人容貌の画像を送信するのが(ホ)です。

(ヘ)本人確認書類のICチップ情報送信+本人容貌の画像送信
運転免許証など本人確認書類のICチップ情報と本人容貌の画像を送信するのが(ヘ)です。

(ト)本人確認書類の画像とまたはICチップ情報の送信+特定事業者へ情報照会
(1)本人確認書類の画像とまたはICチップ情報の送信に加えて、すでに本人確認が終わっている特定事業者に照会の後同一人物であるという裏付けをとるという方法です。
(2)本人確認が完了している口座へ少額の振込を実施して、入出金明細の照会により同一人物かどうかを確認するという方法です。

→犯罪収益移転防止法について詳細はこちら

今後の司法書士におけるオンライン本人確認についての展望

デジタル庁の書類オンライン化の推進や、クラウドサービスによる電子契約締結などの普及、商業登記規則等の一部を改正する省令の施行などにより非対面契約、非対面書類作成のニーズは今後もますます高まっていく傾向にあります。(電子契約サービスの市場規模は2021年時点で前年比38.6%増加し、今後も増加傾向:矢野経済調べ)

▼電子契約サービス市場規模推移・予測

電子契約サービス市場規模推移・予測. 矢野経済研究所調べ
出展:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3088

これにより、犯罪収益移転防止法に則っているオンライン本人確認はコロナ禍とデジタルトランスフォーメーション(DX)という時勢も相まって、導入ニーズが高まっています。

これまでは、非対面でのリスク軽減策はどうしてもコストやユーザビリティ、あるいは確認時間などがトレードオフになってしまうという傾向がありました。

しかしスマートフォンが普及した現在では、「多要素認証」が比較的簡易に導入可能となっています。

「多要素認証」はオンライン本人確認のセキュリティ観点から推奨されている方法です。

多要素認証とは認証の3要素である「知識情報」、「所持情報」、「生体情報」のうち、2つ以上を組み合わせ行う認証のことです。

多要素認証の種類

このような3要素のうちで、生体情報は本人であるということを直接的に証明する要素であるため、なりすまし防止の効果が高く、なりすましを防ぎたい際には有効だと考えられます。

生体情報を活用した認証の特徴

◆安全性

  • 本人であるということを直接的に証明する

◆リスク

  • ハードウェアのセンサーに精度が依存する
  • 偽造ができないわけではない
  • 指紋情報は漏洩リスクが高い

生体情報を活用した本人認証の中でも、顔認証は他の要素に比べ「顔を晒したくない」という犯罪者の心理を考慮すると、偽装のリスクとユーザビリティのバランスがとれている方法といえるのではないでしょうか。

→取引時確認について詳細はこちら

司法書士におけるeKYCのユースケース

ここからは、カンタンeKYC「ProTech ID Checker」を用いて犯罪収益移転防止法に即しており、顔認証を活用したユースケースをご紹介します。

◆導入効果と導入のポイント

  • 取引開始までの時間を短縮し、お客様満足度を向上
  • 導入・管理に特別なシステムは不要

A社の場合

カンタンeKYC導入前は、下記のような課題がありました。

【導入前】
◆課題
契約合意完了しても、郵送で本人確認書類を返送いただく必要がある

◆取引にかかる期間
 1週間

このような課題を、下記の図のようなeKYCを含めた本人確認フローで解決しました。

【導入後】
◆改善点
すぐに取引が可能で、契約の取りこぼしがなくなる

◆期間
即日

◆ユーザーメリット
すぐに相談を開始できる

このようにeKYCを用いることで、事業者・ユーザー両社にとって取引をカンタンにオンライン完結させることができます。

IT人材の不足にお困りの事業者様でも管理しやすいカンタンeKYC「ProTech ID Checker」については下記からお問い合わせください!

オンライン本人確認/カンタンeKYCツール「ProTech ID Checker」

ProTech ID Checker

マネー・ローンダリングやテロ資金供与防止を目的とした「犯罪収益移転防止法」に準拠したオンライン本人確認/eKYCツールです。
セキュリティ対策は万全であり、厳しい検証プロセスに基づいたネットワーク・セキュリティを有する金融機関にもご採用いただいております。

サービスの特徴
・導入方法は対象ページにタグを設置するだけ。最短1週間で実装できます。
・また、既存のWEBサイト上で本人確認認証が完結します。
・ユーザーは専用アプリのインストールや別サイトでの確認も不要。
・ProTech ID CheckerはスピーディーかつカンタンにeKYCの導入を可能にします。

株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • 株式会社ショーケース eKYCコラム編集部
  • eKYCツールProTech ID Checker」を提供する株式会社ショーケースのeKYCコラム編集部です。実際にeKYCを日々営業活動&製品提供するスタッフがコラムの執筆から編集まで行っています。

    このコラムではProTech ID CheckerやProTech AI Maskingに関わる、法令・商品の機能・導入事例や統計などをまとめて随時提供していきます。