SOC 2とは?レポートの種類やISMS認証との違い

クラウドサービスやSaaSの利用が拡大する中、外部委託先のセキュリティや内部統制の信頼性を判断する際に役立つのが「SOCレポート」です。SOCレポートは、内部統制の有効性が客観的に検証されるため、サービス提供企業の信頼性を証明するツールとして世界中で活用されています。
そこで本記事では、SOCレポートの基本から種類、取得するメリットまで詳しく解説します。
SOCレポート(SOC報告書)とは
SOCレポートとは、監査法人や公認会計士が第三者の立場から作成する報告書です。企業が外部委託する業務やサービスの内部統制が適切に機能しているかを検証し、米国公認会計士協会(AICPA)が定めた基準に基づいて評価します。
ちなみにSOCとは、「System and Organization Controls(システムと組織の管理)」の頭文字をとった略称です。SOCレポートは、サービスの信頼性と安全性が第三者の視点で証明されているため、特にIPO準備中の企業やクラウドサービス利用企業にとっては、重要な信頼性の指標となっています。
プレスリリースはこちら:
https://www.showcase-tv.com/pressrelease/20260204_so2/
SOCレポートの種類

SOCレポートには、監査の目的や対象範囲によって3つの種類があります。
SOC 1レポートは、企業の財務報告に関連する内部統制を評価した報告書です。
Type1(特定時点の設計の適切性を評価)とType2(6か月以上の一定期間における運用状況を評価)の2種類があり、クラウドサービスの契約時や契約前に、提供事業者の内部統制の有効性を確認するために取得されるケースが多いでしょう。
財務報告の信頼性を担保する重要な資料として、委託会社やその監査人に利用されており、一般的なセキュリティ評価を求める場合には向いていません。
SOC 2レポートは、データセキュリティやプライバシー関連項目を評価した報告書です。財務報告に焦点を当てているSOC 1に対し、SOC 2はより広くサービスの信頼性全般を対象としています。
「セキュリティ」「可用性」「処理の完全性」「機密保持」「プライバシー」の5つのトラストサービス基準に基づいて評価されるもので、最も広く利用されているSOCレポートといっても過言ではありません。
SCO 2の監査対象範囲
- セキュリティ
- 可用性
- 処理の完全性
- 機密保持
- プライバシー
Type1(特定時点の統制状況を評価)とType2(通常6~12か月の期間における統制の運用状況を評価)の2種類があり、詳細な監査人の意見や統制記述、テスト結果などが記載され、監査や規制当局への報告用として利用されます。
クラウドサービスやSaaS事業者、データセンター、マネージドサービスプロバイダーなど、顧客の重要なデータやシステムを取り扱う企業にとって、SOC 2は信頼性を証明する標準的な手段の一つです。
SOC 3レポートは、SOC 2の情報を一般向けに公開するための報告書です。SOC 2レポートには機密性が高い情報が含まれるため、通常は顧客や見込み顧客など、正当な利害関係者にのみ開示されますが、その内容を一般公開用に簡略化したのがSOC 3です。
Webサイト上やマーケティング資料として公開されることを前提に、SOC 2よりもシンプルで理解しやすい概要情報として構成され、監査人の結論・企業の主張・システム概要・補足情報などが含まれます。
一般公開用に簡略化したレポートのため、詳細な統制内容やテスト手続きは含まれず、外部公開しやすい形式となっている点が特徴です。多くの企業では、Webサイトなどでの公開用にSOC 3を活用しつつ、具体的な取引検討段階ではSOC 2を提供するという使い分けがされています。
SOC 2における5つのトラストサービス基準

SOC 2の監査では、米国公認会計士協会が定めたトラストサービス基準(Trust Services Criteria)に基づいて評価が行われます。この基準は5つのカテゴリーで構成されており、企業は自社のサービスに関連する基準を選択することができます。
セキュリティ
セキュリティは、システムや情報が不正アクセスから保護されているかを評価する基準です。
5つの基準の中で唯一必須とされており、アクセス制御や多要素認証などの不正アクセス防止策のほか、ユーザー認証やパスワードポリシーなどの論理的アクセス制御、データセンターへの入退室管理や監視カメラなどの物理的セキュリティ、さらには保存データや通信データの暗号化の実施状況などが評価対象となります。
データ漏えいやサイバー攻撃が深刻化する中、最も重視される基準と言えるでしょう。
可用性
可用性は、システムや情報が顧客との合意に基づき、約束された稼働率でいつでも利用可能であるのかを評価する基準です。
具体的には、サービス稼働時間のモニタリングやSLA(サービスレベルアグリーメント)の遵守状況、大規模災害発生時の復旧手順やバックアップ体制を含む災害復旧計画(DRP)の整備状況、システムの処理能力や応答時間、冗長化構成などが評価されます。
サービスの継続性は顧客との契約上の義務であり、SaaSやインフラサービスを提供する企業にとっては非常に重要なポイントです。
処理の完全性
処理の完全性は、システムの処理が正確・完全・タイムリーに、承認された方法によって行われているかを評価する基準です。
財務データや顧客情報の入力・計算処理における正確性や、バッチ処理が正常に完了しているかという処理の完了性、処理エラーが発生した際に適切に検知・修正する仕組みが存在するかといったエラー処理体制などが評価されます。
決済処理や帳票作成など、より厳格な正確性が求められるサービスではより重要とされる基準です。
機密保持
機密保持は、機密情報として指定されたデータが、許可されたユーザーにのみ開示されているかを評価する基準です。
機密情報が適切に分類されているか、特定の機密情報にアクセスできるユーザーを制限する仕組みが整備されているか、機密情報を外部に提供する際の承認プロセスが確立されているかなど、データの分類・暗号化・アクセス権限管理について評価されます。顧客の機密データを取り扱う企業では必須の基準です。
プライバシー
プライバシーは、個人を特定できる情報がプライバシーポリシーや規約に従って収集・利用・保持・開示・廃棄されているかを評価する基準です。
PII(個人識別用情報:Personally Identifiable Information)の取り扱いに関する明確なプライバシーポリシーの公開、PIIを収集する際のユーザーからの適切な同意取得、法律や規制に基づいたPIIの保持期間の設定と適切な廃棄などが評価対象となります。
SOC 2のType 1とType 2の違い

SOC 2レポートには、監査の範囲と期間によってType 1とType 2という2つのタイプがあります。それぞれの特徴をより詳しく確認していきましょう。
Type 1は、特定の日時における内部統制の設計と整備状況を評価する報告書です。「仕組みがちゃんと作られているか」という観点から、企業が設計した統制が理論的に適切か、セキュリティ対策が適切に実装されているかを確認します。
評価期間は比較的短く、1〜2ヶ月程度で取得することも難しくありません。短期間で取得できコストも抑えられるため、新規ベンダーの初期評価を得たい場合や、基本的な統制体制を証明したい場合に適しています。
しかし、統制が実際に継続的に機能しているかどうかは検証されないため、顧客からの信頼度という点ではType 2に劣るでしょう。
Type 2は、一定期間(6ヶ月〜1年)にわたって内部統制が継続的に適切に運用されているかを評価する報告書です。運用状況の有効性まで検証するため、監査人は定期的にサンプルテストを実施し、統制が継続的に守られているかを確認します。
監査期間が長く、準備や対応に要するリソースも大きくなるものの、統制の持続性と実効性を証明できるのがType 2の最大のメリットです。継続的にセキュリティ体制を維持しており、その点をアピールしたい場合に最適と言えます。
SOC 2レポートとISMSとの違い
SOC 2レポートとISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、どちらも組織のセキュリティ体制を証明する仕組みです。しかし、その目的や性質は異なります。
SOC 2レポートは、米国公認会計士協会が定める基準に基づくレポート形式の報告書で、内部統制の詳細やテスト結果が記載され、委託会社など限られた対象者にのみ共有されます。あくまでもレポートのため、認証のように合格・不合格という判定ではなく、監査人の意見と発見事項が記載される形式です。一方、ISMSはISO/IEC 27001に基づく国際規格の認証制度で、情報セキュリティマネジメントシステムの要件を満たせば取得でき、認証マークを公開できます。
両者の大きな違いの一つは、評価の焦点です。SOC 2は特定のサービスやシステムに焦点を当て、そのサービスに関連する統制環境が評価対象となる一方で、ISMSは組織全体の情報セキュリティマネジメント体制を包括的に評価します。
また、対象とする読者も異なります。SOC 2レポートは特定の利害関係者にのみ開示されますが、ISMSは広く一般に公開され、取引先や顧客に認証状況を示すことが可能です。自社のビジネス戦略やサービス内容、顧客層などに応じて、適切な制度を選択しましょう。より信頼性をアピールするために、両方を取得するケースもめずらしくありません。
https://www.showcase-tv.com/pressrelease/20250612_isms/
SOC 2レポートを取得するメリット

SOC 2レポートの取得は、セキュリティ体制の強化から事業機会の拡大まで、さまざまなメリットがあります。
セキュリティ体制を強化できる
SOC 2の監査プロセスそのものが、組織のセキュリティ体制を根本から見直す機会となるのは大きなメリットです。トラストサービス基準に沿って現状を評価することで、これまで見過ごされていた脆弱性やプロセスの不備が明確になり、適切なセキュリティ運用を定着させるきっかけとなります。
定期的な教育訓練や統制の監視、是正措置などのプロセスが確立されることで、長期的なリスク低減につながるでしょう。
顧客から信頼を獲得できる
SOC 2レポートは、自社の主張ではなく、独立した第三者による客観的な評価です。そのため、自社作成の資料や口頭説明と比較すると、圧倒的に高い信頼性を獲得できます。
顧客は、「セキュリティ対策に問題はないか」や「機密データは適切に扱われているのか」といった点をどうしても不安視します。そこでSOC 2レポートを取得しておくことは、顧客の信頼を勝ち取る強力なツールとして機能するでしょう。
また、顧客データの保護に真摯に取り組んでいることの証として、長期的な顧客ロイヤルティの向上にも貢献します。万が一データ侵害やセキュリティインシデントが発生した際にも、SOC 2を取得している企業であれば、適切な統制を実施していたと証明できるのもメリットです。
競合他社との差別化が図れる
SOCレポートの取得は、競合他社との差別化を図るのに非常に有効な方法です。特に成長段階にあるスタートアップやSaaS企業にとっては、大手競合との差を縮める強力な武器となります。「会社の規模はまだ小さくても、セキュリティ体制は大手と変わらない」とアピールできるためです。
SOC 2レポートを早期に取得しておけば、市場での競争優位性を確立できるでしょう。また、マーケティング面でも有効に働き、Webサイト上などにSOC 2取得について掲載することで、「セキュリティに真剣に取り組んでいる」というブランドイメージを定着させることも可能です。
監査対応を効率化できる
顧客企業がそれぞれ個別に監査やアンケートを実施すると、サービス提供側は重複した対応に膨大な時間を費やすことになります。しかし、SOC 2レポートがあれば、これらの要求に対して標準化された回答を提供できるため、監査対応を効率化することができます。
SOC 2レポートを取得していない場合、顧客ごとに異なるセキュリティチェックリストに回答する、個別の監査に対応するなど、膨大な工数が発生してしまいます。これにより、本来のコアな事業に割くべき貴重なリソースを奪われてしまうケースも少なくありません。
一方、SOC 2レポートを活用できればこの負担が大幅に軽減され、より本質的な業務に人的リソースを振り分けられます。さらに、SOC 2の要件を満たすプロセスを構築できることで、内部統制の基盤が整い、他の規制対応やコンプライアンス要件にも対応しやすくなるでしょう。
企業価値の向上につながる
投資家やステークホルダーにとって、SOC 2は企業のガバナンス体制を評価する重要な指標となります。特に資金調達を検討している企業にとって、適切なリスク管理体制が整っている証を提示できる点は、投資判断に大きな影響を与えるでしょう。
また、M&Aやファンディングの際に投資家や買収企業が行うデューデリジェンスにおいても、SOC 2レポートがあればセキュリティ面の評価が大幅に簡略化され、高評価につながります。
「SOC 2 Type 2」を取得、信頼性で選ぶなら「ProTech ID Checker」

セキュリティと信頼性が求められる本人確認サービスにおいて、「SOC 2 Type 2(SOC 2レポート)」の取得は重要な選定基準です。本人確認のプロセスでは、個人情報や身分証明書といった極めて機密性の高いデータを取り扱います。そのため、単に機能が優れているだけでなく、データの保護やプライバシー面の管理が整ったサービスでなければ、安心して利用できません。
「信頼できる本人確認サービスを選びたい」とお悩みの際におすすめなのが、SOC 2 Type 2を取得した「ProTech ID Checker」です。「ProTech ID Checker」は、厳格な監査を経てこの認証を取得しており、継続的かつ有効なセキュリティ統制体制が第三者によって検証されています。SOC 2 Type 2のレポートを取得済みということは、セキュリティ、可用性、機密保持などの統制が、一定期間にわたって適切に運用されていることを示しています。
金融機関、不動産業、人材サービスなどのコンプライアンス要件が厳しい業界であっても、安心して導入できるでしょう。
まとめ
SOCレポートの中でもSOC 2は、デジタルサービスを提供する企業にとって、顧客との信頼関係を構築する際に欠かせないツールです。
第三者による客観的な評価を得られるほか、セキュリティ体制の強化・競合との差別化・監査対応の効率化など、多くのメリットが得られます。特にType 2は継続的な運用の有効性を証明できるため、信頼性の高さが求められる場面で非常に有効です。
自社のサービスに適したSOCレポートを取得し、ビジネスの成長につなげましょう。
