2026年4月改正|携帯電話不正利用防止法とは?本人確認への影響と事業者が対応すべきポイント

携帯電話不正利用防止法は、携帯電話やSIMカードの契約時における本人確認を義務付け、不正契約や犯罪利用を防止するための法律です。
近年は、特殊詐欺や不正契約への対策強化を背景に、本人確認の厳格化が進められています。特に2026年4月施行の改正では、オンライン本人確認の方法が大きく見直され、従来利用されていた一部の確認方法が廃止されることになりました。
通信事業者だけでなく、MVNO事業者や販売代理店にとっても対応が求められる重要な改正です。
本記事では、携帯電話不正利用防止法の概要や改正内容を解説するとともに、本人確認への影響や事業者が今後準備すべきポイントについて解説します。
この記事でわかること
- 携帯電話不正利用防止法の概要
- 2026年4月改正の内容
- 本人確認への影響
- 2027年の犯収法改正との違い
- 事業者が準備すべき対応
携帯電話不正利用防止法とは?
携帯電話不正利用防止法は、携帯電話の契約時における本人確認を徹底し、不正契約・不正譲渡を防止することを目的とした法律です。
正式名称は「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」です。携帯電話が振り込め詐欺や特殊詐欺などの犯罪に悪用されるケースが増加したことを背景に制定されました。
この法律により、携帯電話事業者は契約時に利用者の氏名、住所、生年月日などを確認し、本人確認書類によって照合することが義務付けられています。
ポイント:携帯電話不正利用防止法は、通信契約における本人確認を義務付けることで、携帯電話やSIMカードが犯罪に悪用されることを防ぐための法律です。
【2026年4月施行】携帯電話不正利用防止法改正の内容
携帯電話不正利用防止法は、社会情勢や犯罪手口の変化に合わせて見直しが行われています。2026年4月施行の改正では、本人確認方法の厳格化が大きなポイントです。
特に非対面での本人確認については、マイナンバーカードの公的個人認証を中心とした方式への移行が進められています。従来利用されていた、本人確認書類の画像送信や写しの送付による確認方法は、一部廃止・禁止される方向です。
- 本人確認書類の画像送信による本人確認の一部廃止
- 本人確認書類の写し送付による本人確認の一部廃止
- 顔写真のない本人確認書類による非対面確認の制限
- マイナンバーカードやICチップを活用した本人確認の重要性向上
携帯電話不正利用防止法改正で本人確認はどう変わるのか
2026年4月施行の改正では、本人確認の信頼性を高めることが重要なテーマとなっています。
これまでオンライン契約では、本人確認書類の撮影画像と本人の容貌画像を送信する方式が広く利用されてきました。しかし、画像編集技術や生成AIの発展により、券面画像だけでは本人確認書類の真正性を十分に判断しづらいケースも出てきています。
そのため、今後はICチップや電子証明書を活用し、本人確認書類が本物であるかを電子的に確認する方式が重要になります。特に通信契約は、特殊詐欺や不正送金の入口として悪用されるリスクがあるため、本人確認の厳格化は避けて通れません。
撮影方式からICチップ活用へ
従来の本人確認では、本人確認書類の券面を撮影し、その画像をもとに確認する方法が一般的でした。しかし、券面画像だけでは偽造や改ざんを完全に見抜くことが難しい場合があります。
ICチップを活用した本人確認では、本人確認書類に搭載された電子情報を読み取り、券面情報や申込情報と照合できます。これにより、偽造書類による不正申込やなりすましリスクを低減できます。
マイナンバーカード活用の重要性
2026年4月改正では、マイナンバーカードの公的個人認証を活用した本人確認が重要になります。公的個人認証は、マイナンバーカードのICチップ内に格納された電子証明書を利用して本人確認を行う仕組みです。
本人確認書類の画像だけに依存しないため、より高い信頼性を確保できます。通信事業者にとっては、オンライン契約時の本人確認をどのように安全かつスムーズに実施するかが重要な課題になります。
非対面本人確認の厳格化で求められる対応
携帯電話不正利用防止法改正の中心となるのは、非対面本人確認の厳格化です。オンラインで携帯電話やSIMカードを契約する場合、利用者と事業者が直接対面しないため、本人確認の信頼性が特に重要になります。
今後は、従来の撮影方式だけに依存するのではなく、ICチップ読み取りや公的個人認証を活用した本人確認への対応が求められます。
従来方式と改正後に重要となる方式
| 項目 | 従来の本人確認 | 今後重要となる本人確認 |
|---|---|---|
| 確認方法 | 本人確認書類の撮影・画像送信 | ICチップ読み取り・公的個人認証 |
| 偽造対策 | 券面画像の確認が中心 | 電子情報による真正性確認が可能 |
| 利用者体験 | 撮影ミスや差し戻しが発生しやすい | スマートフォンで読み取り可能 |
| 法改正対応 | 一部方式は廃止・制限対象 | 今後の主流方式として重要 |
本人確認フローの見直しが必要
事業者は、自社のオンライン契約フローでどの本人確認方式を利用しているかを確認する必要があります。現在、本人確認書類の撮影や写し送付を中心に運用している場合、改正後の要件に適合できない可能性があります。
特にMVNO事業者や販売代理店では、既存の申込フォームや本人確認業務の運用を見直し、IC認証や公的個人認証に対応できる環境を整備することが重要です。
オンラインだけでなく対面本人確認への対応も重要に
携帯電話不正利用防止法改正というと、オンライン契約の本人確認に注目が集まりがちです。しかし、実際にはキャリアショップや販売代理店など、対面で契約手続きを行う場面も多くあります。
対面契約であっても、本人確認書類の真正性をどのように確認するかは重要な課題です。今後はオンラインだけでなく、対面取引においてもICチップを活用した本人確認への対応が求められる可能性があります。

店舗契約でも本人確認の厳格化が進む
携帯電話契約は、店舗・オンラインの両方で行われます。店舗で本人確認書類を提示してもらう場合でも、券面の目視確認だけでは偽造書類を見抜くことが難しいケースがあります。
そのため、対面であってもICチップを読み取り、本人確認書類の真正性を確認する仕組みが重要になります。キャリアショップや販売代理店においても、今後の本人確認体制を見直す必要があります。
対面・非対面を分けずに管理する重要性
オンライン契約と店舗契約で本人確認フローが分かれていると、管理が複雑になりやすくなります。確認方法や記録保存のルールが分散すると、運用ミスや確認漏れのリスクも高まります。
今後は、対面・非対面を問わず、本人確認の状況を一元管理できる体制が重要になります。本人確認方式を統合的に管理することで、法令対応だけでなく業務効率化にもつながります。
データSIM契約も本人確認が必要になる
近年はスマートフォンだけでなく、モバイルルーターやタブレット、IoT機器などで利用されるデータ通信専用SIMの需要が拡大しています。
これまでデータ通信専用SIMは、音声SIMと比較して本人確認要件が緩やかなケースもありました。しかし、通信サービスの多様化や犯罪利用への懸念が高まる中で、データSIMについても本人確認の重要性が高まっています。
特に近年は、特殊詐欺や不正アクセス、匿名性を悪用した犯罪行為などに通信回線が利用されるケースが問題視されています。そのため、携帯電話不正利用防止法の改正では、データ通信専用SIMについても本人確認を義務付ける改正法が令和8年(2026年)5月29日に公布されました。
施行日は公布日から1年以内で政令が定める日とされており、遅くとも令和9年(2027年)5月29日までに施行されます。
通信事業者やMVNO事業者は、音声SIMだけでなくデータSIM契約についても、本人確認フローや運用体制を早期に見直す必要があります。
- 契約しているサービスが本人確認義務の対象となるか
- オンライン契約時の本人確認方法が法令要件を満たしているか
- 本人確認記録を適切に保存できているか
- データSIM・音声SIMを統一した運用ができているか
SIM契約における本人確認の考え方
| 契約種別 | 従来 | 今後の方向性 |
|---|---|---|
| 音声SIM | 本人確認必須 | 本人確認の厳格化 |
| データSIM | 一部で本人確認不要 | 本人確認対象へ拡大 |
| eSIM | サービスによる | 本人確認の重要性が向上 |
MVNO事業者にも影響が広がる
データSIMを取り扱うMVNO事業者にとっても、今回の制度改正は大きな影響があります。
特にオンライン完結型の申込フローを採用している場合、本人確認方法が最新の法令要件に適合しているかを確認しなければなりません。今後は、マイナンバーカードの公的個人認証やICチップを活用した本人確認への対応が、競争力や法令遵守の観点からも重要になります。
IoT向けSIMにも注意が必要
近年は監視カメラ、車載機器、産業機器など、IoT向けSIMの利用も増加しています。
契約形態によっては本人確認の考え方が異なる場合もありますが、通信回線の不正利用を防ぐ観点から、契約者情報を適切に管理する重要性は今後さらに高まると考えられます。
事業者は、自社が提供する通信サービスの契約形態を整理し、どの契約が本人確認義務の対象となるかを確認しておくことが重要です。
携帯電話不正利用防止法の規制対象
携帯電話不正利用防止法の規制対象は、大きく分けて事業者と契約形態の2つの観点から整理できます。

対象となる事業者
携帯電話不正利用防止法の対象となる事業者には、携帯音声通信事業者、レンタル携帯電話事業者、IP電話提供事業者、販売代理店などが含まれます。
大手キャリアだけでなく、格安SIM事業者やMVNOも対象となる場合があります。通信サービスを提供する事業者は、自社サービスが規制対象に含まれるかを確認する必要があります。
- 携帯音声通信事業者
- レンタル携帯電話事業者
- IP電話提供事業者
- 携帯電話の販売代理店
- MVNO・格安SIM事業者
対象となる契約形態
本人確認が求められる契約形態には、新規契約、名義変更、譲渡・譲受、プリペイド式携帯電話、SIMカードのみの契約などがあります。
近年はeSIMやオンライン完結型の通信契約も増えているため、従来の店舗契約だけでなく、デジタル上の申込フローにも対応する必要があります。
- 新規契約
- 機種変更
- 携帯電話の譲渡・譲受
- プリペイド式携帯電話の契約
- SIMカード・eSIMのみの契約
携帯電話不正利用防止法に準拠した本人確認
携帯電話不正利用防止法では、携帯電話契約時に本人特定事項を確認する必要があります。個人契約の場合は、氏名、住所、生年月日などが確認対象となります。
改正後は、本人確認の方法についても見直しが進み、従来の確認方法の一部は廃止・制限されます。
対面の場合
対面で携帯電話を契約する場合、本人確認書類の提示によって本人確認を行います。ただし、今後は券面の目視確認だけでなく、ICチップを活用した真正性確認への対応が重要になります。
オンラインの場合
オンライン契約では、本人確認書類の画像送信や容貌画像の送信が利用されてきました。しかし、改正により一部方式は廃止・制限されるため、ICチップ読み取りや公的個人認証を活用した本人確認が重要になります。
注意:現在利用している本人確認方式が改正後も利用できるとは限りません。通信事業者や代理店は、自社の本人確認フローが最新の法令要件に適合しているかを確認する必要があります。
本人確認後に対応が必要なこと「本人確認記録」の保存
携帯電話不正利用防止法では、本人確認を実施するだけでなく、本人確認記録を保存することも事業者に義務付けられています。
本人確認記録には、本人確認を行った日、本人特定事項、本人確認書類の種類、本人確認を行った担当者などを記録します。保存期間は契約終了日から3年間とされており、契約中だけでなく解約後も適切に管理する必要があります。
本人確認記録に必要な主な項目
- 本人確認を行った者の氏名
- 本人確認記録を作成した者の氏名
- 本人確認を行った日
- 本人特定事項
- 本人確認書類の種類
- その他本人確認に関する事項
携帯電話不正利用防止法に違反した場合の罰則
携帯電話不正利用防止法には、違反行為に対する罰則規定があります。本人確認を怠った場合や、本人確認記録を保存しなかった場合、事業者に対して是正命令が行われる可能性があります。
また、命令に違反した場合には、懲役や罰金などの罰則が科される可能性があります。本人確認義務は単なる事務手続きではなく、法令遵守の観点から非常に重要な業務です。
| 違反内容 | 主な罰則・影響 |
|---|---|
| 虚偽の本人確認情報を申告した場合 | 罰金の対象となる可能性 |
| 無断で携帯電話を譲渡した場合 | 懲役または罰金の対象となる可能性 |
| 本人確認を怠った場合 | 是正命令や罰則の対象となる可能性 |
| 本人確認記録を保存しなかった場合 | 是正命令や罰則の対象となる可能性 |
2027年の犯収法改正との違い
本人確認の厳格化は、携帯電話不正利用防止法だけでなく、犯罪収益移転防止法でも進められています。
携帯電話不正利用防止法は通信契約を対象とする法律である一方、犯罪収益移転防止法は金融機関や特定事業者を対象とした法律です。対象業界は異なりますが、どちらも本人確認の信頼性向上が重要なテーマとなっています。
| 項目 | 携帯電話不正利用防止法 | 犯罪収益移転防止法 |
|---|---|---|
| 施行時期 | 2026年4月 | 2027年4月 |
| 主な対象 | 通信事業者、MVNO、販売代理店など | 金融機関、不動産、士業、古物商など |
| 主な変更 | 非対面本人確認の厳格化 | 対面本人確認のIC認証厳格化 |
| 重要となる本人確認方式 | JPKI、ICチップ読み取り | ICチップ読み取り、対面IC認証 |
共通するのはIC認証への移行
携帯電話不正利用防止法と犯罪収益移転防止法では対象業界が異なりますが、共通しているのは、本人確認書類の券面確認だけに依存しない方向へ進んでいる点です。
今後は、ICチップや電子証明書を活用し、本人確認書類の真正性を確認することがより重要になります。通信業界に限らず、本人確認が必要な業界では、IC認証への対応を早めに検討する必要があります。
携帯電話不正利用防止法に準拠したeKYCの手法
携帯電話契約のオンライン化が進む中で、eKYCは重要な本人確認手段となっています。eKYCとは、オンライン上で本人確認を完結させる仕組みです。
スマートフォンを利用して本人確認書類を撮影したり、ICチップを読み取ったり、本人の容貌を撮影したりすることで、オンライン上で本人確認を完了できます。
ただし、2026年4月改正を踏まえると、従来の撮影方式だけでは十分とはいえません。今後は、マイナンバーカードの公的個人認証やICチップ読み取りに対応したeKYCサービスを選ぶことが重要になります。
事業者が今から準備すべき3つの対応
2026年4月改正に対応するためには、単に本人確認サービスを導入するだけでは不十分です。現在の業務フローや対象契約、本人確認記録の管理方法まで含めて見直す必要があります。

1. 現在の本人確認フローを確認する
まず、自社で現在利用している本人確認方法を確認しましょう。本人確認書類の撮影、写しの送付、転送不要郵便、公的個人認証、ICチップ読み取りなど、どの方式を利用しているかを整理することが重要です。
改正後に利用できない方式が含まれている場合は、早めに代替手段を検討する必要があります。
2. IC認証への対応を検討する
今後の本人確認では、ICチップを活用した本人確認が重要になります。マイナンバーカードや運転免許証などのICチップを読み取り、電子情報を確認できる仕組みを整えることで、本人確認の信頼性を高められます。
オンラインだけでなく、店舗や窓口での対面本人確認にも対応できるかを確認しましょう。
3. 対面・非対面を統合した運用体制を整える
オンライン契約と店舗契約で別々の本人確認フローを運用していると、管理が煩雑になります。本人確認方式や記録保存が分散すると、確認漏れや運用ミスの原因になります。
今後は、対面・非対面を問わず、本人確認の結果やステータスを一元管理できる環境を整えることが重要です。
導入時に確認すべきポイント
- マイナンバーカードの公的個人認証に対応しているか
- ICチップ読み取りに対応しているか
- オンライン・対面の両方で利用できるか
- 本人確認記録を適切に保存できるか
- 法改正に継続的に対応できるか
よくある質問
携帯電話不正利用防止法とは何ですか?
2026年4月改正で何が変わりますか?
MVNOや格安SIM事業者も対象ですか?
データSIM契約でも本人確認は必要ですか?
対面契約でもIC認証への対応は必要ですか?
犯収法改正とは何が違いますか?
まとめ
携帯電話不正利用防止法は、携帯電話やSIMカードが犯罪に悪用されることを防ぐための重要な法律です。
2026年4月改正では、非対面本人確認の厳格化が進み、従来の本人確認方法の一部が廃止・制限されます。通信事業者やMVNO、販売代理店は、現在の本人確認フローが改正後の要件に適合しているかを早めに確認する必要があります。
また、2027年には犯収法改正も予定されており、本人確認を取り巻く環境は今後さらに厳格化していくと考えられます。オンラインだけでなく、対面での本人確認も含めて、IC認証に対応できる体制を整えることが重要です。
この記事のまとめ
- 携帯電話不正利用防止法は通信契約時の本人確認を義務付ける法律
- 2026年4月改正で非対面本人確認の厳格化が進む
- 従来の本人確認方法の一部が廃止・制限される
- JPKIやICチップ読み取りへの対応が重要
- 2027年の犯収法改正も見据えた本人確認体制が求められる
携帯電話不正利用防止法への対応だけでなく、今後の本人確認全体の厳格化を見据えるなら、対面・非対面を問わず本人確認を一元管理できる仕組みが必要です。法改正対応と不正対策を両立するためにも、早めに本人確認体制を見直しましょう。
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