マイナンバーカードのスマホ搭載とは?概要を分かりやすく解説

マイナンバーカードのスマホ搭載とは、カードに入っている「電子証明書の機能をスマートフォンに移すこと」を指します。つまり、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマートフォンだけでマイナンバーカードと同じ本人確認ができるようになる仕組みです。これまでスマホ搭載に対応していたのはAndroidのみでしたが、ついにiPhoneでも利用できるようになりました。本記事では、マイナンバーカード機能のスマホ搭載の仕組みや、利用するメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

参考:デジタル庁「iPhoneのマイナンバーカード」

マイナンバーカードのスマホ搭載とは

マイナンバーカードのスマホ搭載とは、カードに内蔵されている電子証明書の機能をスマートフォンに取り込むことを意味します。これにより、マイナンバーカードと同様の本人確認をスマートフォンだけで行えるようになり、カードそのものを持ち歩く必要がなくなります。

電子証明書機能とは
以下の2つの機能のことを指します。 スマホに電子証明書機能を搭載することでこの2つの機能を物理的なマイナンバーカードを使わずに、スマホだけで証明が可能になります。

スマホ用署名用電子証明書
オンライン上で申込や契約等の電子文書を作成・送信する際に利用されます。 その利用者が作成・送信した電子文書が「利用者が作成した真正なものであり、利用者が送信したものであること」を証明することができる機能です。
スマホ用利用者証明用電子証明書
マイナポータルなどにログインする際に利用されます。「ログインをした者が、本人であること」を証明することができます。

マイナンバーカードのスマホ搭載でできること

現状提供されているサービスは、主に以下の4つです。

1.マイナポータルの利用

マイナンバーカードをスマホに搭載すると、子育て支援の申請や引っ越し手続き、確定申告といった各種行政手続きをオンラインで行えるようになります。さらに、薬剤情報や検診結果、デジタル母子手帳など、自身に関するさまざまな情報をスマートフォンから確認でき、生活の幅広い場面で便利に活用できます。

2.コンビニ交付サービスの利用

各種証明書のコンビニ交付サービスが利用できます。 住民票の写しをはじめとする市区町村の各種証明書が、コンビニエンスストア等の店舗で取得できます。
ただし、一部の店舗や自治体ではマルチコピー機の未設置などにより利用できない場合があり、全てのコンビニで使えるわけではない点に注意が必要です。

3.各種民間サービスのオンライン申込・利用

マイナンバーカード機能をスマホに搭載すると、行政手続きだけでなく、民間の各種オンラインサービスにも利用できるようになります。例えば、銀行や証券口座の開設、携帯電話の契約、キャッシュレス決済の申し込みなどがスマホだけで完結します。

4.健康保険証としての利用

マイナンバーカードは健康保険証としての利用できます。利用するには事前の登録が必要です。

参考:マイナンバーカードの健康保険証利用|マイナポータル

マイナンバーカードのスマホ搭載の現状(iPhone/Androidの場合)

現状、マイナンバーカードのスマホ搭載についてはiPhoneとAndroidで対応状況が異なります。
iPhoneの場合
2025年6月24日からPhoneにもマイナンバーカードの機能を搭載できるようになりました。
参考:デジタル庁「iPhoneのマイナンバーカード」
Androidの場合
Androidでは既に2023年5月から利用ができるようになっています。 現在、Android端末のうち、約200の端末に搭載することができます。
(参考:マイナポータル「スマホ用電子証明書に対応している端末」)

マイナンバーカードのスマホ搭載 申込方法

マイナンバーカードのスマホ搭載は、以下の流れで申し込みが可能です。

1. マイナポータルアプリをインストールする。

事前に以下の準備が必要です。
  • 実物のマイナンバーカード
  • 券面入力用暗証番号(数字4桁)
  • 署名用電子証明書の暗証番号(英数字6~16桁)

2.トップ画面で、メニューをタップ

3. スマホ用電子証明書の申込

「スマホ用電子証明書を申請する」から、申込を行います。

マイナンバーカードのスマホ搭載の安全性は?

公的認証サービスのメリット

スマホ用電子証明書は、スマートフォンのGP-SE※という安全な場所に格納されています。

GP-SEとは
GP-SEはスマートフォンの本体基盤に埋め込まれたSecure Element(SE)で、GlobalPlatform(GP)仕様に対応したJavaCard実行環境をプラットフォームとして有し、サービス提供者が開発したJavaアプレットをインストールして動作させることが可能なICチップです。

また、以下4つの観点から安全性が高いとされています。

1.GP-SEには必要最小限の情報のみ格納されている

「税関係情報」や「年金関係情報」など、プライバシー性の高い情報はスマートフォン内に記録されません。

2.GP-SEに記録されている情報を確認可能

マイナポータルアプリを利用してGP-SEに格納されている情報を確認することができます。

3.記録情報の盗取は困難

GP-SEに格納しているスマホ用電子証明書にはマイナポータルアプリからしかアクセスできないようになっています。 さらに、不正に情報を盗取しようとする各種手法に対し、自動的に記録情報を消去する機能など、対抗措置を施しています。

4.利用には暗証番号が必要

電子証明書ごとに、暗証番号が設定されています。仮に紛失しても、取得した第三者は、暗証番号を知らないとなりすましできません。また、暗証番号は、入力を一定回数以上間違えるとロックされます。

マイナンバーカードのスマホ搭載のメリット・デメリット

マイナンバーカードのイメージ マイナンバーカードのスマホ搭載についてのメリット・デメリットは以下のようなことが挙げられます。

マイナンバーカードのスマホ搭載のメリット

物理的な本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)を持ち歩く必要がなくなる
スマホにマイナンバーカード機能が搭載すると、スマホさえあれば本人確認やサービス申込などができるようになります。 その為、物理的なマイナンバーカードや運転免許証といった本人確認書類を持ち歩く必要がなくなります。
公的な手続きをする際に市役所などに行く必要がなくなる
スマホにマイナンバーカード機能が搭載すると、引っ越しなどの手続きをする際にわざわざ市役所などに足を運ぶ必要がなくなり、スマホ一つで手続きを完了できるようになります。
生体認証が利用できる
スマホにマイナンバーカード機能を搭載すると「マイナンバーカードをスマホにかざす」+「暗証番号を入力」がなくなります。 スマホの顔認証や指紋認証で本人確認ができるようになります。

マイナンバーカードのスマホ搭載のデメリット

スマホの紛失時や修理時、売却時に失効又は一時利用停止の手続きが義務付けられている

法律上、機種変更や下取・売却、廃棄、故障などによって、マイナンバーカードの機能を搭載しているスマホの利用をやめるときは、利用者自身で電子証明書を失効させることが義務づけられています。

マイナンバーカードの機能を搭載しているスマホから失効手続を行うことによって、電子証明書が失効し、スマホ内の関連データも削除されます。 適切に電子証明書の失効手続が行われていない場合、スマホ内にスマホ用電子証明書が残ってしまいます。(スマホの端末初期化では削除されません。)

仮に残っていても、スマホを適切に管理、又はパスワードを知られていなければ、悪用はされませんが、スマホ内に残ったデータによる万が一のリスクを排除するために、マイナンバーカードの機能を搭載しているスマホの利用をやめるときには、確実に電子証明書の失効手続を行う必要があります。

(参考:デジタル庁「スマホ用電子証明書を登録しているスマートフォンの利用をやめるときの手続」)

公的個人認証サービス機能を搭載したオンライン本人確認/eKYCツール「ProTech ID Checker」

ショーケースのeKYCツール「ProTech ID Checker」は、マイナンバーカードのICチップを活用した公的個人認証サービス/JPKIによる照合や顔貌撮影(セルフィー)と本人確認書類との照合を行う方式により、スマホやウェブからの本人確認を速やかに実行。生体認証技術やAI技術、OCR技術により、95%以上の申し込み完了率を実現し、手続きの煩雑さや時間がかかりすぎることによる離脱を防ぎます。

また、最短5営業日での導入が可能なため、急な本人確認ニーズや法改正への対応が求められた場合にも迅速に対応できます。システム準備に時間を取られず、スピード感をもって法令遵守体制を構築できる点も特長のひとつです。

ProTechコラム編集部
  • ProTechコラム編集部
  • eKYCツールProTech ID Checker」を提供する株式会社ショーケースのeKYCコラム編集部です。実際にeKYCを日々営業活動&製品提供するスタッフがコラムの執筆から編集まで行っています。

    このコラムではProTech ID CheckerProTech AI-OCRに関わる、法令・商品の機能・導入事例や統計などをまとめて随時提供していきます。