ICカード認証の仕組みをわかりやすく解説|種類・活用例・メリットと注意点

交通機関の改札をスムーズに通過し、オフィスのセキュリティゲートを通り、コンビニで電子マネー決済をする。これらすべてに共通するのが「ICカード認証」です。
私たちの日常生活に深く浸透しているこの技術は、利便性だけでなく、高度なセキュリティを実現する仕組みとして、企業のアクセス管理や本人確認の分野でも欠かせない存在となっています。
そこで本記事では、ICカード認証の仕組みから種類、具体的な活用例、メリットと注意点までわかりやすく解説します。
ICカード認証の仕組み
ICカード認証とは、ICチップが埋め込まれたカードを用いて、利用者の身元や権限を確認する認証方式を指します。
ちなみにICとは「Integrated Circuit(集積回路)」の略で、チップの中に情報を記録し、データの読み書きや演算処理といったさまざまな機能を持ち合わせた部品です。ICチップでは、従来の磁気ストライプカードと比較してはるかに大容量の情報を保存できるほか、暗号化技術によってデータの改ざんや不正読み取りを防止できます。
このICチップが搭載されたカードが「ICカード」で、ICカード認証の基本的なプロセスは以下の通りです。
- 利用者がICカードをリーダーに近づける/挿入
- カードリーダーがICチップと通信を開始し、カード内の識別情報を読み取る
- 読み取った情報を認証システムに送信
- ユーザー情報と照合し、情報が一致すれば認証成功、一致しなければ認証失敗
ICカード認証では、この一連のプロセスが数秒ほどで完了します。また、ICカードを使って非対面で本人確認を行う場合の認証プロセスの例は次の通りです。
- 専用アプリやWebブラウザから本人確認手続きを開始する
- カード券面情報(生年月日、有効期限など)を入力する
- 電子証明書の暗証番号(パスワード)を入力する
- スマートフォン背面にICカードを当て、ICチップ情報を読み取る
- スマートフォンのカメラで本人の顔写真を撮影する(セルフィー)
- ICチップ内の顔画像と撮影した顔画像を照合して本人確認を行う
上記のように、オンライン上での本人確認にもICカードは役立っています。
ICカードの種類
ICカードは、大きく「接触型」と「非接触型」の2つに分類されます。
接触型ICカード
接触型ICカードは、カード表面に露出した金色のICチップを、専用のICカードリーダライタに差し込んで通信を行うタイプです。機器と端子が直接触れ合うことで電力供給とデータ送受信を行います。物理的に接触させるため、外部からの電波干渉を受けにくく、通信が非常に安定している点が強みです。
セキュリティ性も極めて高いため、クレジットカード(EMV仕様)やキャッシュカード、マイナンバーカードなど、厳格な本人確認や高額決済が必要な分野でも採用されています。一方、抜き差しが繰り返されることで端子が摩耗したり、汚れが付着して接触不良が起きたりと、物理的なリスクがある点には注意が必要です。
非接触型ICカード
非接触型ICカードは、ICチップとアンテナコイルがカードに内蔵されており、リーダライタから発せられる電波を受けて通信します。
端末にかざすだけで電力供給とデータ交換が完了するため、パスケースに入れたままでも利用でき、接触型のデメリットである物理的な摩耗がありません。そのため、耐久性や防汚性には優れています。
また、非接触型ICカードの中でも「Type A」「Type B」「FeliCa」の3つの種類に分けられ、それぞれの違いは次の通りです。
| Type A | Type B | FeliCa (Type F) | |
|---|---|---|---|
| 主な特徴 | 低コストで世界的に普及 | 高セキュリティでCPU必須 | 超高速処理 | 主な用途 | 一部の社員証 入館証 学生証 など |
マイナンバーカード 運転免許証 パスポート 在留カード など |
Suica PASMO 楽天Edy nanaco (電子マネー) おサイフケータイ など |
上記の通り、特徴別でさまざまな用途に活用されています。
ICカード認証の利用シーン
ここからは、ICカード認証の具体的な利用シーンを確認していきましょう。
交通機関での活用
ICカード認証の中でも最も身近に感じられるのが、交通機関での利用です。SuicaやPASMO、ICOCAなどの交通系ICカードは、全国の鉄道やバスなどで使用されています。
交通系ICカードは、改札機にカードをタッチするだけで乗車駅と降車駅の情報から自動的に運賃が計算され、残高から引き落とされる仕組みです。そのため、わざわざ切符を購入する手間がかかりません。また、交通系ICカードの多くは相互利用が可能になっており、一枚のカードで全国各地の交通機関を利用できるのも便利なポイントです。
オフィスや施設の入退室管理
企業や公共施設では、入退室管理の効率化とセキュリティ強化を目的として、ICカード認証が広く導入されています。ICカードを活用すれば、機密性の高いエリアへのアクセスを管理するのも難しくありません。従業員や訪問者にICカードを発行してアクセス権限を設定することで、許可された人だけが特定のエリアに入室できるためです。
さらに、入退室のログを自動記録できるため、誰がいつどこに入室したかを把握でき、セキュリティインシデント発生時の調査や、労働時間の管理にも有効でしょう。近年では、ICカード認証と生体認証を組み合わせた二要素認証を採用する企業も増えています。
電子決済
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでの電子マネー決済にも、ICカード認証が活用されています。例えば、コンビニエンスストアで「交通系ICカードで払います」と伝えれば、リーダーにカードをかざすだけで支払いが可能です。
クレジットカードでもICチップ付きカードが標準となっており、暗証番号やサインによる本人確認と組み合わせることで、不正利用のリスクを抑えながら支払うことができます。最近では、タッチ決済が可能な非接触型ICのクレジットカードも普及してきました。
パソコンやシステムへのログイン認証
企業の情報セキュリティ対策として、パソコンへのログインやネットワークへのアクセスにICカード認証を採用するケースも少なくありません。
従来のIDとパスワードによる認証では、パスワードの使い回しや漏洩のリスクがありました。しかし、ICカードを用いることで、カードによる所持認証と、パスワードなどの知識認証を組み合わせた強固な認証が可能になります。
医療・福祉分野での活用
医療機関では、医療情報の安全な管理のため、ICカード認証が活用されています。健康保険証のICカード化により、保険資格の確認や医療機関での受付が円滑になりました。
また、診察券をICカード化することで、患者情報の正確な紐付けや、予約管理の効率化が実現されています。医療従事者の認証にもICカードが活用され、電子カルテへのアクセス管理や、薬剤の処方権限の確認などに役立っているケースも少なくありません。
マイナンバーカードとデジタル本人確認
マイナンバーカードは、ICチップに電子証明書を搭載した公的個人認証のツールです。オンラインでの行政手続きや、確定申告のe-Tax、コンビニでの各種証明書取得など、デジタル化された行政サービスの利用に活用されており、2021年10月20日からは、マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)も運用され始めました。
また、民間サービスでも、マイナンバーカードを用いた本人確認(eKYC)が広がっており、銀行口座の開設やクレジットカードの申込みなどもオンラインで完結できるようになっています。
ICカード認証のメリット
ICカード認証が幅広いシーンで採用されているのは、多くのメリットがあるためです。ここからは、ICカード認証の主なメリットをいくつかご紹介します。
ICカード認証の最大のメリットは、そのセキュリティレベルの高さです。磁気ストライプカードは、磁気情報を比較的容易にコピーできることから、スキミング被害のリスクが少なくありませんでした。一方、ICカードは高度な暗号技術により、複製が実質的に不可能です。
さらに、カード自体の所持に加えて、PINコードや生体認証を組み合わせることで、多要素認証も活用できます。仮にICカードが盗まれても、PINコードがなければ使用できない状況であれば、不正利用のリスクを大幅に抑えられるでしょう。
利便性と効率性を大きく向上させるのも、ICカード認証のメリットです。ICカードであれば「リーダーに挿入するだけ」あるいは「かざすだけ」という簡単な操作で認証が完了し、複雑なパスワードを覚える必要もありません。数秒で認証できるため、混雑する店舗や改札でもスムーズに処理できます。
また、ICカード認証は管理者にとっても利便性が高くなります。例えば、入退室やアクセスをシステム上で管理できるようになるため、アクセス権限の変更や、ログの記録や管理も簡単です。
ICカードならではの大容量メモリを活用すれば、一枚のカードに複数の機能を統合できます。
例えば、社員証をICカードにする場合、社員としての身分証明機能、オフィスへの入退室機能、パソコンへのログイン機能、社員食堂での決済機能まで、一枚のカードに集約可能です。
また、交通系ICカードのように、メインの使い方だけでなく、電子マネーとしての決済機能を持つカードも増えています。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、非接触での操作が可能な点も大きなメリットとして認識されるようになりました。
非接触型ICカードであれば、リーダーに直接触れることなく認証できるため、複数の人が使用する端末であっても衛生面のリスクを抑えられるでしょう。病院や飲食店といった衛生管理が重要な施設では、この非接触性が高く評価されています。
ICカード認証システムは、すべての認証試行をシステム上に記録できるため、監査証跡の確保に非常に有効です。アクセス情報や認証の成功・失敗履歴が自動的に記録されるため、情報セキュリティポリシーの遵守や、個人情報保護法などの法令対応において大きな役割を果たします。
金融機関や医療機関といった厳格なコンプライアンスが求められる業界では、ICカード認証は特に有効な手段です。
ICカード認証のデメリット
多くのメリットがあるICカード認証ですが、導入や運用にあたっては次の5点に注意しましょう。
- コストがかかる
- 紛失・盗難のリスクがある
- 障害・停電で使えなくなるリスクがある
- プライバシー面で懸念がある
ICカード認証システムを導入するには、初期費用も運用コストもかかります。まず、ICカードリーダーや認証サーバー、管理ソフトウェアなどを揃える必要があるほか、入退室システムと連携させる場合は設備工事も必要になるでしょう。さらに、社員や利用者一人ひとりにICカードを発行する場合も相応のコストが発生します。
運用面でも、システムの保守管理やカードの再発行、アクセス権限の管理などに継続的なコストと人的リソースが必要となるので、運用管理体制を慎重に構築しなければなりません。
物理的なカードである以上、紛失や盗難のリスクは避けられません。仮にICカードを紛失した場合、速やかにシステム管理者に報告しカードを無効化する必要があります。しかし、報告までにタイムラグがあると、その間に不正利用される可能性もゼロではありません。また、カードを再発行するとなると、時間とコストがかかるため注意が必要です。
ICカード認証システムは、障害が発生して使用できなくなるリスクも考えられます。仮にネットワーク障害が発生してしまうと、決済ができなかったり、本人確認ができなかったりと、さまざまなトラブルにつながりかねません。
また、カードリーダーの不具合や、カード自体の破損で使用できなくなるケースもあります。加えて、停電が発生した際にも認証システムが機能しなくなる恐れがあるので、バックアップ電源を確保するなどの対策が求められます。
ICカード認証システムは、利用者の行動履歴を詳細に記録するため、プライバシーの観点から慎重な取り扱いが求められます。入退室の情報、決済履歴などから行動が分析できるため、これらの情報が不適切に利用されたり、漏洩したりすることがないように、適切な管理体制が必要です。
データを管理する際には、必要最小限の情報のみを保管し、適切な保存期間を設定するといった対策が欠かせません。
まとめ
ICカード認証は高度なセキュリティと優れた利便性を両立した認証技術として、さまざまなシーンで活用されています。これからICカード認証システムを導入する際には、自社のセキュリティ要件や運用体制、コストとのバランスを考慮し、適切なシステム設計を行いましょう。
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